チリも積もればなんとやら

こんにちは。3年漕手の小野田空羽です。福井での強化合宿の帰りの新幹線でこのブログを書いています。今回のテーマは「冬を乗り越えて」ということで、今年の冬場の練習について振り返ってみたいと思います。この冬は代表選考に挑戦するということもあり、チーム全体の練習からは少し外れて基本的には自分でメニューを考え、コーチなどのアドバイスで修正していく形をとっていました。

一言で振り返るとするならば、成長に近道はないということを再確認した冬でした。

冬の練習が本格化する前、ひとつ前の自分のブログで「これまでのローイングに対する常識をぶっ壊して、冬の期間で殻を破りたい」と書きました。そしてそのための手段として一回の練習での漕距離を伸ばすことを選び、体が動く限りとにかく長い距離を漕ぎました。練習量を増やすというアプローチ自体は悪くなかったかもしれませんが、体は正直なもので闇雲な練習量の増加に耐えきれず免疫力が下がりインフルエンザにかかりました。さらには同じタイミングで肋骨を骨折してしまいました。最悪ですね。そのせいで1週間は練習できず、1ヶ月間バイクを漕ぐだけの期間があり、普段はモチベーションが下がることとかないだろとか言っている自分でもさすがにメンタルがやられました。

ただこれがトレーニングへの向き合い方を再考するきっかけとなりました。具体的には東大漕艇部おなじみのTrainigPeaks(通称TP)を本格的に活用することを考えました。それまではメニューの確認程度にしか見ていなかったTPですが、どのようにして各指標が算出されるのか理解し使い始めました。また、目に見える数字と主観的な疲労度のすり合わせをきちんとすることで数字を追うだけの利用にしないように注意しました。ここで年明けから現在(執筆時4/12)までの練習の積み具合を見てみましょう。

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綺麗な右肩上がりで美しいですね。簡単に説明すると、横軸が時系列で、青いグラフ(Fitness)が長期的なトレーニングの積み具合を示し、これを高めることがトレーニングの基本的な目標です。黄色いグラフがその日の調子、ピンクのグラフが過去1週間の疲労度を示しています。青いグラフで一回ピークを迎えている部分がありますが前述した体調不良&怪我をした部分で、そこからトレーニングできていないのでFitnessが単調減少しています。TPの使い方を知った今振り返ると、お前そのまま続けてるとやばいよって過去の自分に言いたくなります。

体調が戻ってからは疲労が溜まりすぎないように気をつけながらトレーニングを積んでいきました。がむしゃらに練習をすれば良いというわけではなく、漸増的に1週間のトレーニング量を増やしていくことが重要です。休養を取ることはもっと大事です。また、代表選考レースの直前はFitnessを高めることよりも疲労を抜くことを優先しピーキングを行いました。3/16あたりは調子のグラフが上がっており、きちんと数値に現れています。実際にレースに向けて体のキレも良くなり、かなり完璧に近い調整だったのではないでしょうか。この辺は昨年の経験もある土方さんの助言が助かりました。

このように地道に正しく練習を積むことで、短期間でトレーニング効果をできるだけ最大化しました。この取り組みが一因となって代表選考での結果にもつながったと思います。ひとつ後悔があるとするならば冬が始まる瞬間からTPの利用を進めればより高いFitnessで選考レースに臨めてFinalBで戦えていたかもしれない、U23世界選手権の代表候補に選ばれたかもしれないということです。まあそんなたらればを言ってもしょうがないし、一度失敗したからこそトレーニングに対する意識が高まったので結果オーライということにしときます。

今後の目標として、自分が活用し続けるのはもちろんですがやはりチーム全体にもっと浸透させる必要があると思います。あくまでTPは体力値について捉えるひとつの側面にすぎません。艇上の技術については無視していますし、メニューの内容についてもあまり考慮していません。そもそもリカバリーフェーズがあるボート競技には向いていない(正しく疲労度を測れない)可能性もあります。しかし、過去の時点からの相対的な積み具合や疲労度はわかるわけで、何より自分の調子に対して敏感になるので、うまく活用する方法を模索したいです。

なんとなく書き始めたら長くなってしまいました。これを読んでくれた部員にはTPにちゃんと入力してみようかなと思ってくれると嬉しいですね。正しい方向に十分な量の努力を積み重ねていこう!

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