漕艇部 理念
「ボートという素晴らしい競技を通じて豊かな人間性を育む」 東大漕艇部は高いレベルの目標を掲げて日々練習しています。
ボートは単純な繰り返し運動だからこそ奥が深く、練習が全てのスポーツです。掲げる目標が高いので練習はかなりハードなものになりますが、目標達成のため部一丸となってその練習に挑戦し続けています。
このような活動の原動力はボートが好きだという気持ちに他なりません。ボートには水面の上を滑って風をきりさく感覚、ボートの下を水が流れる音、四季を通じて変わる川の景色、クルーと艇が一つになったときの一体感など他では味わえない醍醐味があります。
しかし、高い目標を掲げてハードな練習を続けていくうちに、好きという気持ちだけで続けていくのは難しくなります。時にはクルー同士励まし合ったり、先輩の手を抜かない姿勢を見たりして救われることもあります。また一方で、他の部員を叱咤激励したり、後輩を労ったりして他人を救うこともあります。このような活動をしていく中で、全体の為に尽くす覚悟や、自分の弱さを見つめる謙虚さ、他者を思いやることのできる心などを身につけていきます。
東大漕艇部はボートを味わうだけではなく、人として成長できる場でもあります。
漕艇部 雑感
漕艇雑感とは東大医学部教授の石原忍先生が記したもので、東大漕艇部員が日本一を達成するのに必要な心構えを教えて下さっています。
究極のチームスポーツと呼ばれるボート競技で勝つ為に、利己主義や個人主義を戒め仲間の為に尽くす姿勢を説いています。
自分が辛いときは、仲間も辛い。二千メートルレースで、第四クォーターはとうに心身共に限界を迎えた状態で漕ぐことになります。太腿は燃え、心臓は爆発寸前で、頭は真っ白になりそうになります。そんな時にも全力で漕ぎ続けるのは、周りの仲間も自分と同じ事をしてくれると知っているからです。
マネージャーも選手の為に全力でサポートをします。私事を犠牲にし、部の為、部員の為に尽くすのは、選手も全てを捧げて漕いでくれることを知っているからです。
これが日本一のチームの在り方であり、世の中に出ていった時に一流の社会人として活躍するのに必要な心構えなのです。漕艇雑感は戸田橋艇庫の一階ロビーに掲げてあり、部員達が四年間で成長する道標となっています。
令和5年度 Mission
人を、自分を変える―
令和5年度の我々が目指す目標は、「東商戦全艇勝利」「インカレエイト日本一、全艇最終日進出」である。令和3年度のインカレエイト6位、そして昨年度の14年ぶりの東商戦優勝、インカレエイト8位にみられるように、東大漕艇部は近年強くなっているが、エイト以外の艇種では入賞できず、エイトにおいても日本一の壁は厚い。
そんな困難な目標を、私たち令和5年度対校が目指す意義(ミッション)は、「人を、自分を変える」。
「人を変える」とは、周りの人間に対して関心を持ち、働きかけるということ。部活動という人との関わり合いの中で他人と向き合う楽しさ・難しさを学ぶということ。
そして、「自分を変える」とは、成長するということ。高い目標への挑戦を通じて様々な経験を得るということ。
ともに「変える」という言葉を使っているが、何かを変えるにはエネルギーが必要だ。それは変わる対象が人であれば尚更大きいエネルギーが必要となる。
そのような大きなエネルギーを生み出すためには何が必要なのか。
それは、何かに対して本気でぶつかり合うことではないだろうか。
「日本一」「全艇勝利」という困難な目標に対して、本気でぶつかり合う中で、様々な体験をし、様々な感情を抱く。それこそがまさにエネルギーであり、何かが変わるきっかけだ。
目標に対して真摯に向き合いながら、この「人を、自分を変える」という目的も大切にして、東京大学漕艇部は新たな歴史を切り拓いていく。