僕は、陸上部出身というわけではないのだが、ランが好きだ。エルゴとランが逆だったら2000mで6分半は切れそうだな、と常々妄想している。
この間の練習メニューはラン1000m×4だった。1000m走るごとに一定のレスト(休憩)が入るインターバル系のメニューだ。
皆の息も絶え絶えとなったところで4発目が始まる。息が上がった時こそ、強くなるチャンスだ。僕はスタートで飛び出した。
200m。高速巡行のためには、スタートのトップスピードをコンスタントにうまく落とし込むことが大切だ。誰もが速度を落とすところで、オレは加速する。
500m。折り返すと風向きが変わって逆風になった。全てが重たい。厳しい局面では逃げたくなるけれど、ここで踏ん張ってリズムが作れれば楽になる。ランでも、ボートでも、そしてきっと人生でも、同じ。
700m。リズムができれば、あとは一歩一歩を長く、そしてまた脚の回転数を上乗せしていくだけだ。大腿はしびれ、息が厳しくなってくる。しかし、一番前を走っているのだ、という快感は他には代えがたい。痛みの中に、全身が律動する喜びを感じる。このセット、もらった!!!
その時、後方から、疾走する馬のごとき足音が響いてきた。バカな。ありえない。ヤツのどこにそんな体力が残されているというのだ。
残り100mにしてすっかり並んでしまった。
「*****!!!」
なんと言ったのかはわからない。声を発したのが自分なのかヤツなのかもわからなかった。オレは再び加速した。だが、ヤツも加速している。マジで、早く○んでくれ。
「#####!!!」
叫ぼうと思って叫ぶのではない。気が付くと音が聞こえた。
心臓が爆発するのではないかと思った。でも、ここで死を迎えてもいいから勝ちたい。いや、勝つんだ。必ず。最後に頭をよぎったのは、うれしかったけど悔しかった京大戦の、ラストスパートだった。
オレは勝った。
比喩ではなく、0.1秒も差はなかったと思う。でも、オレの勝ちだ(ドヤ)。
最後の力を振り絞って芝生に倒れこむと、夕焼けの空にボートコースの水面が光っていた。ふとオレはまだ、出し切っていないのではないか、と思った。
こんにちは、新3年の岡本です。いきなり小説?を書き出して何が言いたかったのかというと、ボート部の練習楽しい!!ってことと、体を動かすのは気持ちいい!!ってことです。ボートを漕いだりトレーニングをしたりすると本当に頭がスカッとします。かといってバカになるわけではなく、その日の講義内容もいい感じに要約されて記憶されていくように感じます(笑)。
ボート部の練習は、実際にボートを漕ぐ「乗艇」がメインですが、艇をより早く進めるための諸能力の個々にフォーカスした陸トレも多いです。みなさんの想像するであろうウェイトトレーニングのメニューや、サッカーの長友選手がやってそうな体幹メニューもあります。
とりわけおすすめなのが「エルゴ」、ことエルゴメーターです。ボートの動きを陸上で再現するようなマシーンで、駒場にいてもボートを漕ぐ動作が練習できます。慣れてくると全身の筋肉がしなり、解放されていく感覚がなかなかに気持ちいいです(笑)。自分の全てを、数字という客観的な物差しで証明することもできます。
僕ももっとエルゴのスコアを良くして、もっと速く艇を動かせるように、練習を頑張ります。
(「えっ、ボート部ってインターバルのトレーニングとかするのかよ!!」って思った人がいても大丈夫。僕の同期のY岡くんという人は、高校のサッカー部のインターバルトレーニングがきつくて、入部当初は「ボート部ならインターバルしないだろう」と思っていたほどでしたが、今ではエルゴの短距離インターバルで必勝法?を編み出すほどエンジョイし、いまや同期のエースたる活躍をしています。
それから、練習の強度は無理なくステップアップしていくようにできています!「ヤツ」こと僕の同期のS水くんも高校時代は物理部だったようですが、今では、高校時代野球部だった僕より体力があると言えるでしょう。まぁ、そう遠くないうちに抜き返してやるけどな。)