バリバリ漕いでいますよ、池崎翔哉です。伝えたいことが多すぎてかなりの長文です。(ジュニアの皆だけでも読んで欲しいなあ)
最近スポーツには様々な境地があるものなのだなと感じました。
というのもスカルで一つの境地に達したと実感した瞬間がこの間あったのです。新たな境地というのも、何かの改善ではなく、ガラッとスポーツそのものが変わってしまったような革新だったのです。
よい感覚は得てして何かを変えようと意識して掴めるものではなく何十万回とくりかえしてやっとふと掴めるもの、この間の日曜のEMで丁度ポンドのレーン閉鎖を間近にした最後の一周の1250-500地点のことです。
久しぶりのスカルで最初は予想通りボロボロだったのですが、周を重ねるにつれ段々と勘を取り戻して来ました。レーン閉鎖に備え艇はほぼ無くなりわずかに小艇が残るのみの中、レート22ほどでUTをしていたらふと艇が思いっきり進むようになりました。キャッチ時のテンションが脚に残ったままボディスイングがオールへとロスなくつながり、そのままフィニッシュ、その勢いでフォワードへと繋がりキャッチが入り抜けがたいループへと入っていく…
初めてボートがわかったようで、艇の動きがあまりに楽しすぎて、思わずCoxのいずみんに報告してしまいました。マジで泣きそうでした。
この感覚をイメージしてエルゴ60分のメニューにとりくんだら最初の20分のタイムが5秒も上がりました!めでたしめでたし。
これでは終わりません。ここからは肝心の今乗っているスイープ種目であるエイトについてです。
スカルとエイトでは個人的にかなり感覚が異なります。
昨今の自分に関する話でいうと、スカルに比べてエイトは確実に水を押せているし極限まで追い込めているけれども、艇を進めているという感覚は得られていません。
艇を進んだ結果を求めてではなく、ひたすら自分が艇を押したという事実のみを求めて水を押しているというような状況です。
このスカルとスイープの感覚の違いに案外大切な事実が含まれているのではないでしょうか。
一つには、これは脱線となるのですが、追い込みすぎると感じられないものがあるということです。意識をクリアに保てる範囲でないと駄目な一面も存在します。(そしてレースとは異なる側面です)
これはステファンキースリングのシェルゲーム(邦題:エール大学対校エイト物語)でオリンピストでもある主人公が丁度代弁して、葛藤を吐露してくれています。(手元に今ないので正確な引用は避けますが)自分は毎日勝利のみを追い求めて死ぬ気で練習しているが自分の彼女は自分の生活と両立させつつ優雅に追い込み練習している、彼女には機器と筋肉の連動からなる、躍動の素晴らしさが体感できているが自分にはもはやそれはない、といった風に。実際僕も、もしあのUTがメニューの半分ほど、つまり750mほどでドロドロになり死を覚悟するようなUTを行っていたら(ってスカルだと沈するのでできないのですけれど)確かにあの機器と体の調和は感じられなかったと思います。
ぜひボートの楽しさが分からないという人にこの側面を教えてあげたい…
二つには—こちらが本題なのですが—圧倒的にスイープの方がそのスイングする感覚を得るのが難しいという点です。人数が増えるほど難しい印象です。
もしほぼ完全に動作が揃ったら(動作が揃うというと簡単ですがこれにはメンバーのローイングのイメージを統一し、考えと動作のズレを矯正していく必要がありなかなか骨が折れます)あの時のスカルのように動くはずです。もしも全員の動きが一致したらあの様に艇はスイングし調和が感じられるのかもしれない。
今の自分にとってのスイープの次なる境地はこの艇のスイングにあります。
実際まだジュニアのスイープ艇で艇がスイングしたことは一度たりともなく分からないので、本当のところOBさんから見るとスイングするには何年もかかるぞ、というものであるかもしれない。
しかしこれを東商戦までに何としてでも掴みたい。今年の確実に他大学を圧倒するジュニアの強みは艇上でのコミュニケーション、そして感覚が稀に全員で一致することだと感じております。
そんなん何の役に立つのかと考える、そこまでいかずともあまり重きを置かない人は多いと思う、けれどこれは上記のように活きてくるはずです。
ジュニア戦では互いにスイープに慣れ親しんでいるというにはほど遠いクルー同士の対戦となります。これを武器にこちらが試合までにこの艇の動きを手にいれることができたら確実に勝てるでしょう。
打倒一橋。