自分自身、現役時代はCOXとして、どうすれば漕手の技術が向上するのか?ということは常に考え続けてきた。いろんなスタイルで取り組んで漕手のパフォーマンスの向上度合いから方法をFBして、さらに洗練させて・・・、そして最終的に自分の中で「正しい問題意識、危機感、向上心」この3つを選手に持たせようという結論に至った。
そのため、自分のコーチングスタイルは、基本的に選手の漕ぎを貶めるようなコーチングだったなぁと感じている。良くない言い方をすれば減点法。もちろん褒めるときは適切に褒めてはいたが、基本的には「〜がダメじゃない?」みたいことをよく言っていた気がする。それが問題意識の提示にもなるし、やらなきゃという気分になると自分では思ったからだ(まぁ自分自身が褒められて伸びるというよりもむしろ叱られないと伸びないタイプだったというのもあるかもしれないが)。
OZAWA Rowingには技術指導についてこんな風に書かれていた。
良い技術指導とは
1.選手のモチベーションを維持、向上することを必須条件として、指導内容をその中での範囲に限定する。
2.選手の理解できる範囲だけを話す。
またコーチングでは
事実は客観的に指摘する必要がある。ただし多くの課題がある場合、全てを列挙する必要がなく、まず最重要課題が正しく認識できれば十分である。そして希望(向上のための具体的な糸口)を明確に示す必要がある(それがモチベーション維持につながる)
と書かれていた。
ここで改めて自分のコーチングを振り返って見るときに、結果ばかりを求め過ぎて選手のモチベーションの向上という点を少しないがしろにしていた気がする。特に希望を明確にするという点はあまり考えていなかったなぁと正直反省。希望かぁ。
顔を上げて
OZAWA Rowingで他にも面白いことが書かれていたので抜粋してみる。
練習前後のブリーフィングでコーチが長々としゃべり、選手は下を向き・・・という風景を見かける。優勝まであと一歩、油断しなければ優勝はもうそこまで、という時のブリーフィングであればまず、そんな光景はありえないだろう。この落差は何だろう。下を向く姿勢とモチベーションは密接な関係がある。下向きの姿勢は、無意識のうちにコーチングをネガティブでモチベーション低下の反射条件につなげてしまう。「下向き」を単純なバロメータだけで見るのではなく、選手「自身」の「意識的な」モチベーション向上のためのツールとしよう。クルーの理解によって、姿勢の前向きをスピリット向上のキーワードならぬキーフォームにできる。
希望をもって毎日練習したいものである。