【女子部㉖】リセットボタン

こんばんは。
女子部コーチの岡です。

若葉青葉の5月も、もう半ばですね。

現在女子部は、6月下旬の京大戦に向けて動き出しています。

今年の京大戦、女子の対校種目は舵手付フォアです。
東大にとっては、女子選手めいっぱい、ぎりぎりの人数で組むクルーとなります。

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(きれいな緑です)

先日、クルーとしてのキックオフミーティングを開いたようです。
その記録を見ましたが、それぞれがやりたいこと、変わりたいこと、大切にしたいこと、をきちんと言葉にできており、感心しました。

私は先週日曜日の練習を見に行ったのですが、この日はなしペア2杯に分かれての乗艇でした。

〇山茶花(#S森田 #B磯崎)

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(漕ぎ出す山茶花クルー)

聞けば磯崎はペアに乗るのが2回目だそうですが、とてもそうは見えず、違和感なく漕げていたので驚きました。

そしてなんだか新鮮な森田整調、リギングから技練の提案まで、頼もしくクルーを引っ張ってくれていました。

ついでに五月祭の企画も引っ張っていたようで、その手腕をどこでも遺憾なく発揮している模様です。

〇荒鷲(#S平松 #B江口)

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(漕ぎ終えた荒鷲クルー)

江口は東商戦までずっとストサイでしたが最近バウサイに挑戦中、こちらもなんだか新鮮です。

ずっと別々のクルーだったこともあるのか、序盤は2人の漕ぎのリズム・サイクルが噛み合いませんでした。

どう解決するのか見守っていると、艇上でしっかり話し合い、話し合ったポイントをちゃんと修正し、どんどん舟の動きが改善されて、こちらもまた驚きました。

漕ぎを修正するのは、年数を積めば積むほど逆に難しいところもあります。
でも、そこに対して、二人できちんと向き合えているところに成長を感じました。

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(リギング中の森田。頼もしい背中です)

また、この日は助っ人でエイトに乗っていましたが、今後は3年コックスの青木が「こゝろ」の舵を取ります。

これまで男子艇に乗ることの多かった彼女ですが、これからは女子クルーで、培ってきた経験を生かしてくれることと思います。

私自身これまで青木と話す機会があまりなかったのですが、色々話をしていると、正直な語り口と一歩引いた独特の見方が印象的でした。
これまでの女子部に、いそうでいなかったタイプかもしれません。

健やかな青空がよく似合う彼女の活躍に乞うご期待です。

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(リギング中の磯崎。リギングもなんだか楽しそうにこなします)

さてこの日は、選手たちと話をしながら、「助けて」という言葉について考えていました。

Q10というドラマの中に、以下のようなシーンがあります。

美少女ロボットQ10は、
「人間には、リセットボタンがありません。人間は、リセットしたいとき、どうするのですか?」
と問いかけます。

その一つの答えとして出てくるのが、「助けてって言う」というもので、第一話はクラス全員で校庭に出て、「助けてください」と叫ぶところで終わります。

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(デッドリフトパート1:江口選手)

でも、「助けて」って、助けてほしいときほど、助けてほしい人ほど、言えない言葉なんだと思います。

迷惑をかけたくない、受け入れてもらえるかわからない、まさか助けてもらえるなんて想像もついてない、それで立ちすくんでいる人がたくさんいる気がします。(私もそうです。)

でも、じゃあ自分ですべてどうにかできるのか?と言ったらそんなことはなくて、「自分が全部引き受ける」というやり方は傲慢でもあります。

自分だったらこれくらいできるはず、もっともっとやれるはず、という気持ちは、自律心や向上心でもありますが、一つ視点をずらすと、慢心や独りよがりにもなります。

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(デッドリフトパート2:平松選手)

もしかしたら真面目な人ほど、「この程度で助けを求めるなんて、ただの甘えなんじゃ?」と思ってしまうものかもしれません。

個人的には、甘えること、そして甘やかすことって大切だと思っています。子どもも大人も関係なく。

一人で我慢ばかりしていると、知らず知らずよそにも我慢を強いるようになり、人に優しくできなくなっていきます。

自分でどうにかしようとしてばかりいると、まわりの人がどんな顔をしているか、気づけなくなっていきます。

助けられたなと思ったら、今度は自分のやり方で助けてあげればいいだけだと思います。

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(デッドリフトパート3:磯崎選手)

とはいえ、そんな綺麗事ばかりじゃやっていけないことも重々わかっているつもりです。

この世は祟りそのものというように、不信や憎悪、許せない気持ちといったものは、誰の心にもあるはずです。それは助け合い云々でどうにかなるものでもなく、だからリセットが必要という発想になると思っています。

ただ、憎しみに乗っ取られたタタリ神にならないために、ささやかだけど、助け合いという一つのやり方があるよ、というイメージです。

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(さりげなく貼られている献立表。この日の昼食「むね肉のもっちりごま照り焼き」が美味しそうすぎて気になりました)

そういえば、漫画「3月のライオン」にも冴えたセリフがありました。

「一人じゃどうにもならなくなったら 誰かに頼れ
でないと実は 誰も お前にも 頼れないんだ」

この言葉の意味を象徴的に、そして現実的に学べるのがクルーボートだと思っています。

今年の「こゝろ」がどんなクルーになるのか、とても楽しみです。

女子部コーチ

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