今回ご紹介するのは、現役時代は主務(マネージャーのリーダー)として漕艇部の活動をリードされ、現在は岡山大学法学部の准教授としてご活躍されている土岐将仁先輩です!
(これは2021年3月に書かれた記事です。)
自己紹介
新入生の皆さん、コロナ禍により先行きの見通せない大変な1年だったことと思いますが、このたびは合格・ご入学本当におめでとうございます。2006年に弘学館高校(佐賀県)を卒業して文科一類に入学した土岐将仁と申します。法学部を出たあと法科大学院を修了して、現在は岡山大学で大学教員をしています。専門は労働法です。
東大漕艇部に入部された経緯や入部動機についてお聞かせください。
高校時代は勉強漬けの生活を送っていましたので、大学では勉強以外の新しいことにチャレンジしたいと思っていました。大学から新しくはじめる人が多い競技があれば良いなと思っていたところ、私の1つの上の先輩が熱烈に誘ってくださいました。
ボート部の新入生向けのイベントに参加する中で、たくさんの先輩方にお会いしましたが、それぞれの先輩方が大きな目標に向かって日々真剣に取り組まれていて、しかし、優しさというか、温かみを帯びた方々で、こういうような大人になれたらと考え、入部しました。
東大漕艇部での4年間を振り返って、最も印象に残ったことや感動されたことは何ですか?
3年生の時の東商戦が印象に残っています。当時、私は新人勧誘を総括するマネージャーでした。新人勧誘は長期的な将来のことも見通しつつ、長い時間をかけて準備をします。東商戦は4月末に行われるレースで、ここにどれだけ多くの新入生が応援に来てくれるかが重要な意味合いを持っていました。
当日は豊かな可能性を秘めたたくさんの新入生たちが応援に駆けつけてくれ、非常に感動しました。また、レースも勝利したので、2年生となった彼/彼女らを一緒に過ごす私が4年生になった時のことや、彼/彼女らが4年生になったときにチームが飛躍するだろうことを想像して、とてもワクワクしたことを覚えています。
土岐さんにとって、主務・マネージャーとしてチームを支えることのやり甲斐や魅力を教えてください。
マネージャーは、選手たちが主役であるとすると、選手たちが練習に集中できる環境を作る役割を果たすという点で裏方稼業だと思われがちですが、ボート部は学生の組織ですから、マネージャーも主役の一人であることにかわりがないと思っています。マネージャーも、選手と一丸となって日本一という目標に向かって全力を尽くしており、その活動が選手や組織としての部のパフォーマンスに大きく貢献しています。艇速との関連は見えにくいのですが、これがマネージャーの活動の面白さともいえる部分であり、だからこそ、結果に結びついて勝利したときの喜びは大きいものです。
ボート部は、大学の艇庫でたくさんの部員が活動しており、年間の予算規模も学生団体としては大きい方ではないかと思います。マネージャーとしてこうした団体を主体的に、責任を持って動かしていけるのはやり甲斐を感じることだと思いますし、魅力の1つだと思います。
また、OBOGや運動部を管轄する大学の職員さんなど多くの関係者と調整にあたることも多く、その際に、ボート部の活動が実は多くの人に支えられ、大きく期待されていることを直に知ることができる(そして、こうした機会にマネージャーも主役の一人として周りからよく見られているということを実感したものです)のも魅力の一つではないかと思います。
主務としてチームをリードされたご経験が、社会人になってどのように活かされていますか?
主務としてチームを強くするにはどうすればよいかということを考えていましたが、これは簡単に答えが出るものではありません。試験などとは違い、何が解決すべき問題なのかも分からないところから始まります。何が問題かを分析して、人と議論しつつその解決策を考えて、実行することを繰り返して答えを探すしかないのだろうと思っています。
私は研究職についており、労働法のあるべき解釈や立法を考えることを仕事にしていますが、これも簡単に答えを出せないことであり、問題の解決のための方法も色々なものが考えられます。学生時代に分析的に考える訓練をしていたことが仕事にも役立っているように思います。また、このコロナ禍で行われたオンライン授業をどう設計するかを考える過程でも非常に役立ちました。
主務は部外の関係者との調整を多く行うことがありましたが、調整の際の勘所のようなものも身についたように思います。
最後に、新入生へのメッセージをお願いします。
大学生活の4年間は、多くの人にとってまとまった時間を自由に使える人生最大のチャンスです。ぜひ、何かをやりきったという経験をしてください。苦い思いや失敗をすることもあるかもしれませんが、ボート部は自分に自信をつけることのできる最高の場所だと思います。