2.「日本一」という目標で強くなれるか
誤解を招くタイトルですみません。しかし、「勝ちたい」というモチベーションだけで練習に取り組んでいるのであれば、逆説的ですが、勝つためのメンタリティとしては不十分なのではないか、ということを最近特に強く感じるようになりました。競技に対する知的好奇心のようなものが強くなるためには不可欠ではないかと思います。
もちろん「勝ちたい」という思いが重要であることに異論はありませんが、そればかりに偏ってしまうと、練習がただの修行になってしまい、もっと体力や技術を伸ばすためにはどうすべきか、というようなことを自ら考えることを阻害してしまう危険性があると思います。
ボート競技は奥が深いというのはよく言われている話ですが、本当にボートの奥深さを理解してそう言っている人はどれくらいいるのでしょうか。僕自身まだ理解できていないのだろう思います。理解が少しずつ深まる度に、今までは全然分かってなかったと思うことの繰り返しです。理解できていないと、理解できていないことが理解できないという難しい問題かと思います。
そのような競技である以上、好奇心を持って追究する姿勢が強くなるためには重要だというのは誰もが思うところだと思います。というよりむしろ、周りより一歩前に出るチャンスがある部分だと思います。にも関わらず辛い練習をこなすだけで強くなれるというような錯覚に陥っていないでしょうか。
ボートに必要なトレーニングが辛いトレーニングだったというだけで、辛いトレーニングをすればボートにおいて強くなれるわけではありません。とはいえ、辛いものは辛いですから、トレーニングをこなすことで一杯になってしまうことは無理もないと思いますし、自分自身思い当たる節が多分にあります。
しかしそこで如何に創意工夫し続けられるかが重要な分かれ目であると思います。またそれこそが身体能力の平均値がそれほど高くないチームが活路を見出すべき部分であると同時に、身体能力の差を克服して勝つことが期待できる理由であると思うようになりました。
「勝ちたい」という思いばかりが一人歩きして、ボート競技に対する探究心や好奇心の土壌を痩せさせてしまっていないか時々振り返ってみることも大切ではないかと思います。