究極のチームスポーツ
われわれ漕艇部員が日々打ち込んでいるボート競技は、よく「究極のチームスポーツ」と称されます。
また、このブログを読んでいる方の中には、サッカーや野球、ラグビー、ハンドボールといった、いわゆる「チームスポーツ」の部活や団体に所属されていた方もいると思います。
それら他のチームスポーツとボート競技との違いは何なのか、ボート競技が「究極のチームスポーツ」と呼ばれる理由について、説明してみたいと思います。
「連携」ではない、「調和」だ
「MVP」や「最優秀選手」というのは、チームスポーツの試合で最も活躍した選手を指す言葉です。
この言葉によく表れているように多くのチームスポーツでは、たとえ勝利した試合であっても
「今日の試合で、チームメイトのあいつは活躍したが、自分はあまり思うように立ち回ることができなかった」
というふうに、試合後の満足感に個人差が出ることがよくあります。
試合中、フィールドの選手たちにはポジションごとの役割が与えられ、チームメイトとの連携を意識しつつ各自が別々の動きをしています。
個人の能力が高かったり調子が良かったりした一部の選手の活躍が、その日のチームの勝利に結びつくこともある(そのように感じてしまう選手も多い)というわけです。
一方、ボート競技においては、勝った瞬間(=レースで1位でゴールした時)
船の上に「活躍できなかった選手」というのは絶対に存在しません。
ボート競技は、人類が考え出したスポーツの中で最も消費カロリーが大きく、きついスポーツの1つであると同時に、
8人の漕手がお互いの姿を視認できない(=8人が縦に並んで漕ぐため)状況の中で、一緒に漕ぐ8人の動きを完璧に調和させることで初めて勝つことのできるスポーツです。
レースに挑むとき、漕手は疲労で燃えるように熱くなった脚で船を踏み抜き続け、自分の肉体を気絶する一歩手前まで追い込みながらも、指先まで集中力を研ぎ澄ませた状態を6分間続けなければなりません。
240回オールを漕ぐ動作を続ける中で、一度でもクルーの動きがズレればたちまち失速し、競争相手の船に一気に追い抜かれてしまうのです。
東京大学クルーを含め、レースを競う全団体がこれらのことを分かった上で、1位でゴールするために死ぬ気でレースに臨んでくるのです。
全国の多くの大学には100年以上続くボート部が存在し、日本一になるために倒すべき強敵は多いです。私立大学の中には、高校時代からボート競技を始めた経験者が推薦で入ってくる、私たち東大生よりもスタートラインでリードしている相手もいます。
死ぬほど苦しい、人生最高の瞬間
ですから、レースに一位でゴールする瞬間とは、
「高校からの経験者も多く乗っている私大を含めた、他のクルーすべてを上回る最高のパフォーマンスで、自分と仲間たちは漕ぎ切ったのだ」
「死ぬほどきついレースの中で、仲間たちも自分も誰一人として、手を抜かなかったのだ」
ということが証明される瞬間です。
ボート競技は背中の向きに進む競技ですから、1位でゴールした時には、後から遅れてゴールする他の艇がすべて視界に入ってきます。
一足先にゴールしたクルーは、手強い競争相手に勝ち切った自分への満足感に拳を握りしめ、ともに漕いだ仲間への尊敬と感謝で胸が一杯になる、人生最高の瞬間です。
それまでの 長く苦しい練習や、地獄のような6分間のレースの記憶が、一瞬で吹き飛ぶほどの圧倒的な快感が、自分の脳に流れ込んできます。
また、そのような他の競技では味わえない勝利の喜びを共有した仲間は、クルーを解散したり部を引退したりした後も続く、一生の仲間になります。
新入生の君へ
これらの経験は、究極のチームスポーツたるボート競技でしかできないものです。
そして私たち部員は、新入生の君と一緒に、日本一の景色を見てみたいと思っています。
私たちと一緒に、ボート競技に挑戦しませんか?
私たちと一緒に、勉強でもスポーツでも自分が日本一だと、証明してみませんか?
<このブログを読んでボート競技に興味を持った新入生の君へ>
今週4月1日(月)、4月2日(火)に、駒場キャンパス全体を使ったサークル勧誘イベント「サークルオリエンテーション」があります。
運動会漕艇部も1号館101教室 および 第一体育館2階 にてブースを出しております。
陸上でボート競技の感覚を体験したり
全国級の舞台で戦っている現役部員に話を聞いたり
することができます。ぜひお越しください。
(※メールや公式SNSのDMから事前にご連絡いただけますと、より丁寧にご対応することができます。
Twitter‖ @ut_rc
Instagram‖ @todairowing )
東京大学運動会 漕艇部
修士2年 学生トレーナー
岡 健太
