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漕艇部という部

私は運動会総務部を8月をもって引退した。総務部というのは、東京大学運動会の運動部の活動を監督・総括するという部署である。多種多様な業務があるのだが、日々の本郷での業務と夏季の運動会寮の運営が主な仕事として挙げられよう。この総務部の運営は基本的に運動会の各部からの代表者が派遣されることで成り立っている。私もその一人で、2年の時から凡そ2年余り「漕艇部の代表」として総務部の業務を担ってきた。

総務部では様々な経験をしたが、一つ特筆するとするならば、良い意味でも悪い意味でも「漕艇部が如何に特殊な部であるか」ということである。

まず、良い点について。それは漕艇部は勝利の為に厳しい生活をしているという点では、運動部の中でも随一であることだ。
勿論、運動会の各部はそれぞれの厳しい条件の中で、勝利を目指し日々努力している。例えば、グラウンドを使用している部は自分たちの活動場所の確保に日々苦労しており、そういった苦労をしながら勝利をもぎ取るべく努力しているのである。グラウンドを使用する部以外の部も、限られた制約条件下で日々真剣な活動をしている。そういった他の部の活動に対しては、我々漕艇部員も敬意のまなざしを送るべきと思う。
しかし、我が部のように日々合宿生活をして、毎日朝夕と練習している部は他には見ることができない。純粋に勝利を目指して日々合宿生活をしているという部は漕艇部のみであり、その勝利への執念は他に追随を許さない。こういった生活をしていることについて、素直に誇るべきことと思う。また、漕艇部の代表者として私が総務部で振舞う際にも、艇庫の皆の頑張りは私の誇りとしたところだ。こういった生活を送っていることに自信過剰になってはいけないが、自分たちの活動は大いにほこりと自信を持つべきであると私は確信している。

これに対して、悪い点。それは、漕艇部がその活動の割には、一般の人たちの認識が余りに希薄である点である。
漕艇部は日々本当に頑張っているにもかかわらず、実は大学の一般学生、さらには運動会のほかの部に対してもその活動が驚くほど認知されていない。総務部に私が入った時も、愕然とするほど漕艇部への認識が無く、偏見に満ちた見方をされることもあった。曲がりなりにも選手としての経験のある自分としては、自らの部の活動に誇りや自信を持っていた。しかし、自分の思っているようには漕艇部は対外的には思われていないと知り、無念の思いをしたのもしばしばである。
しかしながら、このような状況にあっても、我が部は正直申し上げて「他人がどう思おうとあまり関係ない」というのが伝統的なスタンスであったように思われる。確かに、我が部としては全日本・インカレの勝利ということが一番の目標であり、そのためにやっていることを他の団体がどういおうと構う必要はない。しかし、だからといって漕艇部が大学の一般の人たち、運動会の他の部に認知されることも無く、戸田で練習しているだけでよいのだろうか?
私はやはり、我が部の活動をもっと他の人たちに認知してもらい、自分達の頑張りを応援してくれるようになってくれるた方が我々としても張り合いが出てくると思う。また、この漕艇部の活動は(OBの方々のご支援は言うまでも無いが)大学や運動会からの多大な支援に基づいているものであることからすれば、そのような支援に対して、我々が「試合に勝利する」こととは「別の形」で寄与することが求められていると思う。

そこで、このような状況を打開すべく、「水上運動会」という貢献事業を今年行なうことが決定している。水上運動会というのは、一般の運動会員の方々に参加してもらい、レース形式でボートを楽しんでもらうという企画である。漕艇部の一般学生・運動会員への貢献事業であり、また自分達の活動を世に知らしめるいい機会になるのではないかと考えている。
確かに、この行事をやったからすぐに六大学をやっている野球部のような人気を得ることはできないだろう。しかし、このような活動を続けていく事で、漕艇部の活動をより一般の人たちに認知してもらえるようになると思う。そして、さらにいえば、水上運動会は「開かれた漕艇部」の端緒になるのではないかとも考える。
不肖私木村がこの行事の総指揮を執るのであるが、現役生活最後の華とする意味でも、新しい漕艇部の第一歩とするためにも、全力でつとめて行きたいと思っている今日この頃である。

4年 前運動会総務担当・現水上運動会責任者 木村太亮

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