最近、私自身、一部の選手に対して少しだけ一方向的な雰囲気になっているのが、気になっています。実際に、あまりあれこれ言い過ぎると、選手の考える力を奪ってしまうのではないかと思い、この頃は具体的な指示を出すことはほとんどしていません。
実際に今は、適当な方向性を示すところで止めています。例えば、選手に「もっと柔軟性をUPさせたいね」とか、「もっとスピード感を出したいね」と言うくらいです。
ですが、その一方で、このままの状態を維持していても何も変わらないような気がしていることも確かです(個人差はありますが)。
なのでそういう選手には、次に一緒に何かに取り組むところまでやってみようかと思います。例えば一緒にストレッチをしたり、一緒にスピードトレーニングをしたり、そういう風にする中で、最終的に選手にそういう行動の価値を理解させ、実感させ、自動化させるところまでいけば良いかなと思います。
結局は、いかに選手を動機づけするのかということになりますが、
今、色々と考えていることもあるので、それを実践してみようと思います。基本的な概念は、[コーチ講習会]共通科目1日目の中の1.スポーツ技能の習得:やる気を出させる指導を参考にしました。
上のリンク記事でも書いてますが、常に選手が自主的にやるという状況であることが重要です。こちらがやり過ぎると、選手の行動は、「やらされている」状態になってしまうし、こちらがやらな過ぎると「何もやらない」状態になってしまいます。
「しんどい」だとか「義務感」だとか、そういうものとは全く別のもので人間を動かすのはやはり難しいです。
★ ケーススタディ (漕手改造計画 Vol.1:K君の場合)
という事で、今日は、レッグドライブのスピードが遅めのK君と一緒に以下のスピードトレーニングを行いました。
実際には、Ergoで負荷を下げた状態でスピードを上げて少し漕がせ、その後、もとの負荷でのスピードアップを図るという非常にオーソドックスな技術練習です。
まずは、通常のドライブスピードを知るために、レッグオンリーで5本漕いでもらってドライブ時間の合計を測定しました(合計3.5sec以上)。
次に、Ergoのドラムに毛布をかけることでドラッグファクターを最小にして、レッグオンリーとフルレンジを交互に1分間漕がせた後、ドラッグファクターを戻して、もう一度ドライブ時間の測定を行いました。
最終的に、5ストロークの合計時間は大幅に改善され、本人自身がとても驚いていました。
方法はこんな感じです。
しかし、ここでの問題は、いかにこれを選手に自主的にやらせるのかということ。ドライブスピードに大きな価値を見いだせないかぎり、このトレーニングは本人にとってゴミみたいなものであり、一番大事なのは、本人の中で、優先順位が高いものとドライブスピードを上手にかつ強く結び付けてあげることだと個人的には思います。この選手に関しては同期に対してのライバル心が強く、向上心もあるので、そこを上手くついてみることにしました。
実際に、最近伸び盛りの別のK君の乗艇ビデオをスロー再生で見ながら、キャッチの瞬間から脚が伸びきるまでのコマ数を数えて自分のものを比較させました。
一般論に基づくFB
ここまで、実際にやってみて、リンクの記事の内容を交えてFBしてみようと思います。
まず、コマ数やタイム測定など客観的なデータを用いることで「結果を分かりやすく知らせる」ということはクリアできたと思う。そして、まだ不十分ではあるが、実際に1回の「成功体験」を積ませることもできた。またライバル心を煽ることで「感情や期待を高める」ことも最低限のレベルではできたのではないかと思う。
ただ、「目標」を不明瞭にしてしまったことが大きな問題なので、これに関しては、明日きちんとフォローを入れておこうと思う。
そして、「行動の主体は自分であるという意識を持たせる」ということと「成功は努力の賜物と考える(原因帰属)」に関しては、明確な目標設定と成功体験があって、言葉使いを間違えなければ何とかなると思います。
こうして、一般的なカタに嵌めるやり方で今回はやってみました。今後の彼の変化に期待したいです。
今回はここにかなり色んなことをぶっちゃけて書きましたが、K君は週末にしかこのBlogを読まないようなので、ネタがばれるまでになんとか結果を出してもらえれば良いかと思います。
最後に
今回の反省としては、選手の感情や期待感の高め方があまり上手ではなかったのが挙げられます(もともと感情が昂ぶっていたようで、今回はそこまで問題にならなかったですが)。なので、次からはこのポイントをもっと上手くできれば良いかなぁと思います。
しかし、こういうのってホント難しい。今回やって、改めて思いました。以上。