ギャザーについては、このBlogの中でもたびたび出てきた。もちろん鶴井さんの書き方で納得できるならばそれでいいと思う。結局はイメージによって正しいパフォーマンスを出すことが重要なので。ただ自分は何ともモヤモヤする感覚が残ってしまっていたので、もう少し物理的に考えてみることにした。
フォワード中の現象と加速フォワード
ギャザー自体とは少し問題が異なるが、フォワード中にどのような現象が起こっているかを理解することは重要である。一度ブレードが水中から離水するとボート、漕手、オールにかかる力は水や空気による抵抗のみとなり、全体系(ボート+漕手+オール)の運動エネルギーは必ず減少する。
そしてここで、一つの重要な理論が登場する。水によってボートが受ける抵抗はボートのスピードの2乗に比例する。そのため、艇速が上がれば上がるほど、幾何級数的に抵抗は増加していく。(空気抵抗の同じ)これは一つの結論に帰着する。フォワードの速度が上がるほど、フォワード中の全体系のエネルギー損失は大きくなるということだ。フォワードが速いということは運動量保存則によってその分ボートのスピードも上昇する。結果、水による抵抗値が上昇してしまうのだ。
ただ、水の抵抗もあくまでも艇速の一要素ではあるが、フォワードの優劣を決める決定的な要素にはならないような気はする。とはいえ重要な内容だと思ったのでここで掲載してみた。
ギャザーとは
ここからギャザーの話に入りたい。Rowing fasterにも乗っている(P122)が、ボートと漕手と全体系の水平方向の速度の時間によるグラフを見てみる。諸事情で写真を入れれないのが残念だが、順を追って説明していく。
フォワード中にボートが最高速度になるが、その少し前から全体系の速度は下がる。上に書いた通りの理由である。そしてボートが最高速のときには漕手とボートの速度は異なるが、フォワードエンド(シートトップ)ではボートに対して漕手が静止することになるので、二つの速度は同じになる(速度のグラフが交わる)ことになる。その点に向かって、ボートの速度は下がっていく、けれど漕手自体のスピードはグラフが交わる前から少しずつ増加していくことになるのである。
これは、どういうことなのか。何かしら漕手に力が加わっているということを表している。フォワード中の漕手に力を加える可能性がある物は、直接漕手と接触しているオールか、シートか、ストレッチャーの3つしかない。しかし、ここではオールとシートからの力はほぼ無視できる。なので漕手に力を加えて、速度を上げさせているのはストレッチャーということになるわけである。結局フォワードエンドに向けてストレッチャーからスタン方向に押される(そのため水平方向の速度が上がる)現象、これがギャザーではないのだろうかと思う。
この感覚は、鶴井さんの書いていた、ギャザーはするものではなく感じることというイメージとは全く矛盾しない。
最後に
今日はこれを書いて終わりにする。オールが水中で固定する前にストレッチャーを思いっきり蹴る事についてです。当たり前だがそれをやってしまうと、レンジを無駄にしてしまうし、艇をゴールと反対方向に思い切り突き飛ばすことになるし、ピッチングなどの要因も引き起こす。まさにいい事なしである。本当に押すべきは水である。クラッチという言い方もあるが、クラッチは水を押すために仕方なく押すのである。オールが固定されるまではストレッチャーを思い切り押してはいけない。物事には正確な順番があるのである。