東大生は身体が硬い?
毎年4月になると東京大学に多くの学生が入学し、その中の一部の者はボート部員となる。ここには新入生勧誘という非常に大きなイベントがあるのだが、そのことについては次の機会に書くとして、毎年入部した一年生は、昨年度4年生で引退したものが新人トレーナーとして指導することになっている。
毎年、新入生は一人一人本田アスレチックトレーナーに身体を念入りにチェックしてもらいアスリートの体になるための課題を教えてもらう。その際には柔軟性も非常に大きな要素になってくる。
しかし、新入生だったころの私も含めて、それまでの約20年間ストレッチというものの重要性をそれほど認識していなかった人が多いので、身体の硬い人が多い。
「今年の一年生も体が硬そうだね〜」なんて半ば笑いながら言うこともあるが、笑い事ではない。正直、こいつは頭が硬いから身体も硬いんだろうなぁという人もいる。
柔軟性の重要性
もはや言うまでもない事柄であるが、自分なりに書いてみる。
Mike Spracklenは艇速を決定づける要素はLength,Power,Rateと言っている。
足首、股関節、肩胛骨周りの柔軟性はそのままその人のオールの振り角に大きく影響する。ストレッチャーやオールのリギングに一時的に力を借りる分には構わないが、いつまでも頼りっぱなしというのも良くない。
また、筋肉が仕事をするのは伸びていた筋肉が縮む時でありで、柔らかくて良く伸びる筋肉がする仕事の方が大きいのは容易に想像することができる。それにしなやかな体の方が上手にぶら下がることができて、無駄なパワーロスも少ない。
加えて、柔らかい体は怪我のリスクも軽減してくれる。シートを空けることのできないクルーボートにおいては毎日元気に練習することはとても重要だ。
ペアストレッチ
東大ボート部にはフィジカルトレーナーの岸さんに今年度考えていただいたペアストレッチのメニューがある。2人で股関節や肩胛骨周りの色々な筋肉を効率よくストレッチするためのものである。個人的に内容が非常によくできていると思う。
これは、ペアストレッチをする無しフォアの山野(左)と小田(右)の写真。
この2人はインカレクルーを組んだ時から、ず〜っとペアストレッチを行っている。
私がペアストレッチを効率的だと思うのには色々と理由がある。
・自分以外の人と行うために、コンディショニングに対する意識がより高められる。一人でやるよりも二人でやった方が必然的にないがしろにはされにくい。(一人でやるのが駄目と言うわけではない)
・クルー単位で行うことで、コミュニケーションの場を設けることができる。勝手な私の持論だが、クルーボートにおいてのコミュニケーションは重い場所(乗艇後のMTGなど)よりももっと軽い場所(食堂、風呂場、居室その他)においてより行われるべきだと思う。おくまでも”より”である。その点でクルーの二人で何かを一緒に行うことでその時間を有効に作れる。
・人の身体を知ることで自分の体についても敏感になれる。これは経験則だが、他人の体を上手に伸ばしてあげることのできない人は自分の体も上手く使えていない。逆に、他人に指導されながら上手に体を伸ばしてあげれるようになれば、自分の体も上手に使えるようになるはずである。
こんなに良いところがあるのに、最近はクルーでペアストレッチをしているのをあまり見かけない。
個人が取り組むべき課題や生活スタイルもあるだろうが、日常の些細な行動を積極的にクルー単位で行うことで、もっと細かなコミュニケーションをたくさん重ねて一日一日を有意義に過ごしてほしいと思うし、身体ももっと柔らかく高性能にできたらとも思う。