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今仁雄一氏

イマニマシーン

週末に東北大OB今仁さんと会う。昭和36年入学で須藤さんとレースをした仲。デンソーボート部創設者、元デンソー監督。

目的は今仁さんが開発した計測エルゴ(通称イマニマシーン)での測定。昨年のインカレ時に、日大と仙台の8+メンバーの測定を行い、興味深いデータを得たとのこと。長良川で北京五輪の事前合宿をしていたカナダ8+の測定も行ったようだ。測定装置の概要とその結果について纏められた報告書を読んでみた。その一部は月刊ローイングNo.488(2009.3)にも掲載されている。

面白そうだ。自分も引かせてもらおっと。

Mike Spracklen 発表論文

今仁さんの事を調べていると、彼がMike Spracklenの論文講演を訳していたことを知った。その内容は、月刊漕艇No.361(1996.8)と364(1996.11)に寄稿されていた。1995年当時Spracklen氏がアメリカM8+のコーチをしていた頃、US Rowing Conventionで発表した論文が元。題名は”リーダーとしてのコーチ -如何にしてクルーを頂上に導くか-“。

早速読んでみた。トピックは「選手の動機付け」「リーダーの資質」「選手選考の仕方」「批評の仕方」「勝つ雰囲気の作り方」など。技術的な言及は少なく、心理的な記述が多い。多少古い記事だけど、今に通じるものがある。ここにまとめようとしたけれど、結構な分量があるので目についた部分のみピックアップ。それでもまだ多いか。

— 3つのタイプの生産者がいる。良いものを産み出す人。トラブルを産み出す人。そして言い訳をする人。

— 信頼は、選手・コーチがお互いを信ずることによって生まれる。コーチは選手と同レベルの動機を必要とするし、コーチはリード役だが、成功はコーチと選手間の相互作用からもたらされる。ちょうどコーチがその選手を観察し日常生活を評価するように、選手もコーチを評価する。
選手はコーチを見ている。その通りだ。経験として、コーチのモチベーションと彼へのリスペクトは比例する。

— 最良の動機付けは、成功したいとする選手の欲求を目覚めさせるなどの勇気付けである。
これが心エントリーだと感じる。

— 良いコーチは、選手が失敗したとき、言い訳をしたり、責任を転嫁するスケープゴートを探したりしないし、自分自身を眺め、自分の失敗から学び、将来をより良くする方法を取る。物事が上手くいかない場合、その責任の一部を受け入れる時、コーチと選手の絆は強化される。

— 漕手は一般的に心理的に3段階を経験する。一つ、何も知らない段階。二つ、あらゆるものを知っていると思い込む段階。三つ、全ては知らないことを悟っている段階。

— コーチの影響を最大限にする為に3つの資質を持たなければいけない。経験、知識、コミュニケーションスキル。経験と知識は時間をかければ得ることが出来る。ところが、コミュニケーションスキルは芸術的である。コミュニケーションとは技術的な指示と同様に動機付けも含む。人々は指示に対し異なった反応を示す。だからコーチは正しい言葉を常に探さなければならない。その方法は、友情ある説得から言葉による圧力まで色々ある。

— 若いコーチは余りにも多くの指示を一度に出す傾向がある。選手はコーチの声にあまりにも慣れて、やがては発せられた言葉が選手の頭の上を通り過ぎていく。

— あなたが《なぜか》を説明する面倒をいとわなければ、あなたの成功率はかなり高い。適切な説明をすることにより、選手からあなたが《親方ぶっている》、命令されていると感じないようにすることが出来る。さらに説明はエラーの生ずる可能性を少なくする。人々はロボットではない。人々を人間らしく扱えば、彼らはあなたに良い対応をするだろう。あなたが望むことを細かく説明しなさい。良い動き、悪い動きを各選手に等しく説明しなさい。そして一人でビデオを見たり、自身のために練習するように勧めなさい。それらは学習に最も効果的な方法である。

— 人懐っこく好感の持てるコーチは、そうでないコーチより常に説得性に富んでいる。快活で性格の良いアプローチで人々や問題に対処することにマイナスな面は無い。事実、それ以上のものは無い。
あ、俺のことですね!分かります!

— 持続と決意のみが唯一全能のものである。
断固たる決意が必要なんだ。

— 否定主義は伝染しやすい。しかし熱狂も伝染しやすい。熱狂的な選手はチームにとって貴重な財産である。積極的な態度は、チームを正しい道に保ったり、調子が落ちているときに勇気付けたり、進むべき道を見失った時にその方向を示したりするのに役立つ。

— 遅刻者はチームに対し有害である。練習開始寸前で調整しなければならなくなり、こういう間に合わせの変更は、通常大変効率が悪くなる。コーチが時間を守ることも重要である。良好な時間管理は誰に対しても好影響をもたらし、さらに選手はコーチが自分達と同じにやる気を持っている、と理解して喜んでコーチの指示に従うようになる。

— 頂上が高ければ高いほどその道程は厳しいが、挑戦に面と向かう時、満足度はそれだけ大きなものである。

以上。

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今仁雄一氏

イマニマシーン

週末に東北大OB今仁さんと会う。昭和36年入学で須藤さんとレースをした仲。デンソーボート部創設者、元デンソー監督。

目的は今仁さんが開発した計測エルゴ(通称イマニマシーン)での測定。昨年のインカレ時に、日大と仙台の8+メンバーの測定を行い、興味深いデータを得たとのこと。長良川で北京五輪の事前合宿をしていたカナダ8+の測定も行ったようだ。測定装置の概要とその結果について纏められた報告書を読んでみた。その一部は月刊ローイングNo.488(2009.3)にも掲載されている。

面白そうだ。自分も引かせてもらおっと。

Mike Spracklen 発表論文

今仁さんの事を調べていると、彼がMike Spracklenの論文講演を訳していたことを知った。その内容は、月刊漕艇No.361(1996.8)と364(1996.11)に寄稿されていた。1995年当時Spracklen氏がアメリカM8+のコーチをしていた頃、US Rowing Conventionで発表した論文が元。題名は”リーダーとしてのコーチ -如何にしてクルーを頂上に導くか-“。

早速読んでみた。トピックは「選手の動機付け」「リーダーの資質」「選手選考の仕方」「批評の仕方」「勝つ雰囲気の作り方」など。技術的な言及は少なく、心理的な記述が多い。多少古い記事だけど、今に通じるものがある。ここにまとめようとしたけれど、結構な分量があるので目についた部分のみピックアップ。それでもまだ多いか。

— 3つのタイプの生産者がいる。良いものを産み出す人。トラブルを産み出す人。そして言い訳をする人。

— 信頼は、選手・コーチがお互いを信ずることによって生まれる。コーチは選手と同レベルの動機を必要とするし、コーチはリード役だが、成功はコーチと選手間の相互作用からもたらされる。ちょうどコーチがその選手を観察し日常生活を評価するように、選手もコーチを評価する。
選手はコーチを見ている。その通りだ。経験として、コーチのモチベーションと彼へのリスペクトは比例する。

— 最良の動機付けは、成功したいとする選手の欲求を目覚めさせるなどの勇気付けである。
これが心エントリーだと感じる。

— 良いコーチは、選手が失敗したとき、言い訳をしたり、責任を転嫁するスケープゴートを探したりしないし、自分自身を眺め、自分の失敗から学び、将来をより良くする方法を取る。物事が上手くいかない場合、その責任の一部を受け入れる時、コーチと選手の絆は強化される。

— 漕手は一般的に心理的に3段階を経験する。一つ、何も知らない段階。二つ、あらゆるものを知っていると思い込む段階。三つ、全ては知らないことを悟っている段階。

— コーチの影響を最大限にする為に3つの資質を持たなければいけない。経験、知識、コミュニケーションスキル。経験と知識は時間をかければ得ることが出来る。ところが、コミュニケーションスキルは芸術的である。コミュニケーションとは技術的な指示と同様に動機付けも含む。人々は指示に対し異なった反応を示す。だからコーチは正しい言葉を常に探さなければならない。その方法は、友情ある説得から言葉による圧力まで色々ある。

— 若いコーチは余りにも多くの指示を一度に出す傾向がある。選手はコーチの声にあまりにも慣れて、やがては発せられた言葉が選手の頭の上を通り過ぎていく。

— あなたが《なぜか》を説明する面倒をいとわなければ、あなたの成功率はかなり高い。適切な説明をすることにより、選手からあなたが《親方ぶっている》、命令されていると感じないようにすることが出来る。さらに説明はエラーの生ずる可能性を少なくする。人々はロボットではない。人々を人間らしく扱えば、彼らはあなたに良い対応をするだろう。あなたが望むことを細かく説明しなさい。良い動き、悪い動きを各選手に等しく説明しなさい。そして一人でビデオを見たり、自身のために練習するように勧めなさい。それらは学習に最も効果的な方法である。

— 人懐っこく好感の持てるコーチは、そうでないコーチより常に説得性に富んでいる。快活で性格の良いアプローチで人々や問題に対処することにマイナスな面は無い。事実、それ以上のものは無い。
あ、俺のことですね!分かります!

— 持続と決意のみが唯一全能のものである。
断固たる決意が必要なんだ。

— 否定主義は伝染しやすい。しかし熱狂も伝染しやすい。熱狂的な選手はチームにとって貴重な財産である。積極的な態度は、チームを正しい道に保ったり、調子が落ちているときに勇気付けたり、進むべき道を見失った時にその方向を示したりするのに役立つ。

— 遅刻者はチームに対し有害である。練習開始寸前で調整しなければならなくなり、こういう間に合わせの変更は、通常大変効率が悪くなる。コーチが時間を守ることも重要である。良好な時間管理は誰に対しても好影響をもたらし、さらに選手はコーチが自分達と同じにやる気を持っている、と理解して喜んでコーチの指示に従うようになる。

— 頂上が高ければ高いほどその道程は厳しいが、挑戦に面と向かう時、満足度はそれだけ大きなものである。

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