日常

令和5年度、男子部副将の田中健翔です。いよいよラストのブログになりました。といっても、日常が当たり前すぎて、本当にこのまま引退するのか・・・?と実感が湧かない日々です。
でも、そんな日常で気づいたこと、一つ記して終わろうかなと。

練習が始まる前、選手は籠に練習後の着替えを入れて、籠を脱衣所に置いてから練習に臨みます。練習が終わった後、汚い体で部屋に戻ることなく、すぐにシャワーを浴びられるようにするためです。
もちろん、レースの日も一緒です。最後のレースをする日も同じでしょう。始まる前に、着替えを籠に入れて、脱衣所に持って行きます。
多分、その時は戦う相手のことを考えたり、これまで成し遂げてきたことを思い返したり、色々と頭が一杯だと思います。ともあれ、これから出場するレースのことに集中しています。
逆に、レースの後のことは、あんまり考えていないと思います。
その時、殆ど無意識に、レースが終わった後に自分が着るものを、レース前に準備をしています。
当然のことではありますが、自分の感覚からすると、ちょっとだけ面白い気もします。

琴線に触れるような映画を見たり、ライブの熱気に当てられたり、何か大舞台に立ったり、人生の岐路に立ったり、何か心揺さぶられる経験をする。すると、終わった後、一種何か生まれ変わったような気分になりませんか?
その場合、始まる前から終わった後の自分がどうなっているのか想像するのは、若干難しいと思います。

2000m漕ぎ切ると、やっぱり何かしら大きい感情に揺さぶられて、レースが本当に一瞬の出来事のような気がしてきて、生まれ変わったような気分になります。レースを境に、その前の自分とその後の自分が同一視しづらいような感覚です。
そう自覚すると、レース前の僕は、籠に着替えを入れる時に、「これを着る時自分はどうなっているのだろう」と、未来の自分を他人事のように感じたりします。
そんな、どこかよそよそしい他人事の自分のために、今の僕が着替えを準備しているのが、何だか面白いと感じるのだと思います。

ともあれ、たった10分にも満たないレースが、それほどまでに心揺さぶられる経験であることに変わりはありません。
それは、色んな練習や取り組みや、話し合いを尽くして、出来たこと出来なかったこと、全部背負って、その一瞬の中で戦うからだと思います。
でも、本当はそこで終わりじゃなくって、レースが終わった後も、ちゃんと続いていく。終わった後に、ちゃんと続いていくように運営してくれる人がいて、サポートしてくれる人がいる。
だからこそ、あの一瞬の間に文字通り死力を尽くして戦うことのできる舞台がそこにある。それはきっと貴重で、もう手にし難い経験であったと、心の底から実感する時がいづれ来るのだと思います。

引退した後の自分は、それこそ今の僕にとってはよそよそしく、そんな自分を空想して何かするというのも変な話ですが、今の日常を精一杯生きたいと思います。
最後まで、よろしくお願いします。

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3年前、初めて艇庫に来た時に撮った写真。今とそんなに変わらないですが、この景色を見て日常だと思うまでに、色んなことがあり過ぎた。

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