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4日目

今日のトピックは「指導者の役割」 「安全対策(総論、気象)」 「艇・用具の取り扱い」 の3つの講習を受けた。指導者の役割に関する講義は日本ボート協会審判委員の杉岡さんに、安全対策はOZAWAROWINGの作者である小沢哲史さんに、そして艇・用具の取り扱いに関しては桑野造船所の社長である古川宗寿さんにお話していただいた。

安全対策

安全対策に関しては「ボートとは危険…『を克服する』スポーツである」ということおっしゃっていた。ボートは競技者の無知、不注意、不真面目が大きな事故に直結する種目であり、水上で行うために救助をすぐに呼ぶこと自体も困難だ。もちろん、危険をさせてスポーツを行わないという選択肢も存在する。それでも、将来的に自分や他人を守ったり、救うためのスキルを養う場としての大きな価値を小沢さんはボートという競技の中に見出していた。なるほど。
そして、そのためには選手に一般的に良いとされるルールや鉄則を無条件に受け入れさせるのではなく、常に自分で考えて安全確保を行える環境をコーチの手で作っていくことで、選手一人ひとりに安全に関する感度を上げさせることが大切とおっしゃっていた。そのためにも、コーチは一般的なルールの意図を正確に理解し、そのルールが適応される範囲を正確に見極めることが必要とされる。一般的なルールが適応されない場合があると言うことも忘れてはならない。
とはいえ、初心者などに関しては、コーチが選手を最低限のレベルにまで成長させる責任を負うことになる。

少し抽象的な話になりましたが、要はシロートには安全に対する十分な知識を与え、常に選手には自分で考えてリスクを管理させることで安全に対するセンスを養わせろという話だと思います。

リスク管理

ボートは自然の中で行われるために、多くのリスクが潜んでいる。雨や風、波や水の流れ、それに雷などだ。そのほかコースによっては増水や堰、橋脚などのリスクも存在する。環境条件に関しては客観的な判断基準を設け、その他のリスクに関してはボートを適切にコントロールすることでリスクを確実に回避する必要がある。

低水温

水の冷たい季節になってきたが、水温の低い時期は低体温症が非常に危険だ。水と空気では空気の方が圧倒的に熱伝導率が低いために、アクシデントが起こっても水中にいる時間はなるべく短くすることが大切だ。ザックリ言うと、人間が水中にいれる限界時間は長くても温度の3倍だ(水温が20度以上であれば、低体温症に関しては、一応安全ではある)

ここ10年、国内のボート部について考えると、死亡事故は起こっていないが、今後も無いことを祈りたい。しかし、小沢さんの持つ情報量には驚かされるばかりだ。

艇・用具の取り扱い

基本的に毎日Blogを拝見させていただいている、古川社長の講習でした。国体にも諸事情がありいけなかったので、生で話を聞くのは初めてだった。Blogやコラムと重複する内容もありましたが、直接聞くとなると、また面白かった。ただ、なんとなくここに書くことで言葉遊びになりそうで怖いです。

馬力が3%増えるか、抵抗が3%減るかすれば艇速は1%上がるという話から始まった。
そしてコーチの役割は馬力を増やすことであり、造船所の役割が抵抗を減らすことだとか。ただ、抵抗の中で最も大きい割合(具体的には80〜85%)を占める水の抵抗のパラメーターとなる3つの要素、「濡れ面積」「水温」「ボートの速度」のうちの3つ目、ボートの速度のムラをいかに無くしていくかもコーチングの重要なポイントだとか。レートが上がるにつれて、漕ぎが乱れ、1サイクルの最高速度と最低速度の開きが大きくなる傾向があるらしく、1サイクルでの平均速度がたとえ同じだとしても最低速度が低くて最高速度が高くなってしまうと、最高艇速の際に無駄な抵抗を生んでしまう。まぁ要するに、ラッシュフォワードとキャッチでの蹴り戻りはダメだよねという話だと思います。理解していただければ幸いです。

また、造船技術にかんしても、単純に剛性が高ければ良いというわけでなく、ボートの持つ1つの弾性体としての固有振動数と漕手のRowingサイクルとが上手くマッチングすることも漕ぎやすさという点で非常に重要らしい。ただ、そこまで感じて、拘れる人がいるというのも驚きだが。

その他、艇の剛性に起因するドライブ中のリガーの変形とストロークのフェイズによるピン角の変化の話(キャッチではピンは内傾する形になり、フィニッシュでは後傾する)にも起因するが、ドライブにおいてブレードの水との角度を決定しているのは、実はブレードのねじれとピン角とブッシュだけでなく、クラッチやスリーブの削れ、リガーと船体の剛性も大きく関わり、全てを考慮した際に最も確からしい方法でブレードのピッチ角を測定、設定する必要があるという話も興味深かった。というか、改めて自分のセンスのなさを自覚させられた。センスって大事だなぁと昨日に引き続いて気付かされました。

後は、スカルのオーバーラップの歪さとそれの誤魔化し方に関するの話。

色々語っていただきました。なかなか消化しきれるかわかりませんが、弱音を吐かずにきちんと消化して上手く今後に生かしていければなぁと思える講習でした。もっともらしく書いてますが、一度「私」というフィルターを介した情報ですし、あくまでも1つの見方に過ぎないという点は誤解なさらぬようお願いしたいと思います。

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