【女子部⑰】04年度が始まりました


こんばんは。

女子部コーチの岡です。

11月23日に京大戦が終わり、フライをはさんで、04年度の女子部が本格的に動き出しました。

新人女子として頑張ってきた磯崎と斎藤も、このタイミングで新しいスタートを切りました。磯崎は漕手を続け、斎藤はスタッフに転向しています。
それぞれの持ち場で、臆することなく自分らしさを発揮してもらいたいです。

そして今年はいよいよ、三人で苦楽をともにしてきた江口、平松、森田が最高学年に上がります。

あっというまの一年になるでしょうが、いっぱい失敗して、いっぱい後悔して、少しずつ強くなってほしいと思っています。


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ここからは私自身の話になりますが、コーチとしての自分の役割とはなんだろう?と最近考えています。

一昨年、佐藤監督から女子部コーチのお話をいただいたとき、はじめにこう思いました。

「東大ボート部で毎日こうして練習に打ち込めることがどれほど恵まれたことか、まずはきちんとわかってほしい。だからこそ、中途半端な取り組みはしてほしくないし、やるからには、ボートをやってる自分を心から誇りに思ってほしい」

少なくとも私は現役のとき、ボート部の外には全く目を向けられなかったし、外にどんな世界があるのか、想像しようともしていませんでした。

そのぶん、社会に出たときには、本当にいろんな気づきがありました。

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私は児童養護施設で働いています。
児童養護施設というのは、親となんらかの事情で暮らせない2~18歳の子どもたちの家みたいなもので、職員は親では
ない立場であ
りながら、親の代わりのようなことをします。

いろんな子がいますし、基本的には明るく楽しく生活しているのですが、どの子にも強烈な「見捨てられ経験」があることは確かです

家庭で死ぬ寸前だったところを保護されたり、面会に来ていたお母さんがいつのまにか消えていたり、信じようとしていた職員が何人もやめていったり、そんな経験を誰しもが持っています。

そんな中、「自分はこの世界にいてもいい」という安心を手に入れることはとても困難です。

他者を傷つけることでしか自分を表現できない子、いつも不安でしょうがなくてカメレオンのように表情の変わる子、なにもかもをすっかり諦めている子、目を背けることしか方法を知らない子、目つきだけでなんとなく人をいらつかせる子、
一人一人抱えているものはちがいますが、その一日を生きのびることに、みんなぎりぎりの苦労をしているように見えます。
それでもちゃんと生きて育っていく彼らには尊敬の念がたえません

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経済的、社会的に恵まれているというのはもちろんですが、「ボート部で頑張りたいと思えること」そのものが、すでにたいへん恵まれたことです。

そして、それはみんなが自力で獲得したものではなく、泣き出したら「どうしたの?」と慰めてもらえる、つまずいたら「大丈夫?」と手をさしのべてもらえる、きちんとした環境が与えてくれたものである、ということをまずは自覚してほしいです。

特に東大生にとっては、「目標に向かって努力すること」は当たり前に思えるかもしれませんが、それは決して当たり前じゃありません。

そんなことすら、望んでも手の届かない人が世の中にはたくさんいます。

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さらに言うなら、ボートを漕ぐことで、食べ物が手に入るわけでも、お金がもらえるわけでも、誰かの役に立つわけでもありません。

みんなはとても非生産的な活動をしています。しかも大量の時間とお金とエネルギーを投下して。

誤解を恐れずに言えば、無駄なお遊び、お芝居のようなものです。

しかし、だからこそ、めいっぱい、真剣に遊んでください。
向き合うことや傷つくことを恐れずに楽しんでください。
もし楽しみが見いだせないなら、楽しむ努力をしてください。

この恵まれた時間をただなんとなく、誰かに言われるままに消費するような、そんなもったいないことだけはしないでください。

ちなみに自分は現役のとき、ろくなことができませんでした。
だからこそ今は、チームのためにできる手助けを、私の届く範囲でにはなりますが、やっていきたいと思っています。

皆さま、今後とも東大ボート部の応援をよろしくお願いいたします

女子部コーチ


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