こんにちは。対校学生コーチの山田達也です。
今日は、今までの対校練習報告とは異なり、私自身が感じていることを主観的に書いていこうと思います。
現在対校チームは、対校エイトで勝利をすることを第一の目標に掲げてトレーニングを継続しています。私も現在エイトの指導を行うことが多いのですが、コーチという立場になっても思うのは、やはりエイトは面白いなということです。もちろん、単純に他の艇種よりも速いから、見ていて面白いというのもあるのですが、エイトの面白さというのは、やはり、漕手が8人も乗るというところに由来しているように思います。エイトは、8人の選手がシンクロして動かなければいけない種目であり、それゆえに、選手間での十分に信頼が不可欠です。
信頼という言葉は、ボート以外の場においても、あらゆるところで重要視されるものであり、日常にあふれている言葉なのですが、エイトに必要な信頼というのは、そうした普段使用する言葉とは、かなり違ったイメージを持っていると思います。一言で言えば、もっと「物騒」なものです。
これはエイトに限らないことですが、激しいメニューにおいては、酸素が直ぐに足りなくなり、呼吸はあっというまに苦しくなり、限界を迎えます。こうした、限界すれすれの状態では、あらゆる面でごまかしが効かなくなり、真に高いレベルの心技体が問われるのですが、クルーの信頼もここで真価を問われます。
本当に苦しいときは、心の中に、「自分より頑張ってない人がいるのではないか、そして、自分ももう少し頑張らなくても良いのではないか。」という思いが、何らかの形で浮かんできます。普段、心から尊敬し、信頼しているはずの先輩や同期と一緒に乗っているのにも関わらず、そんなことを思ってしまいそうになるのです。
クルーの内一人でも、そう思ってパフォーマンスを落してしまったら、もう終わりです。それが、残りの漕手に、明確に伝わり、負の連鎖が始まります。そうした状態は絶対に避けなければなりません。
これが、4人程度までのボートであれば、前後の人が頑張っていることが直に伝わってくるので、こうした思いに支配されにくくなるのですが、8人もいるエイトでは、より難しく、重要な課題となります。整調からバウまでは、10メートルも距離が離れています。特に、艇速が思うように出ない時期は、こうした思いに負けそうになることがあり、自分の精神的弱さを嫌なほど見せつけられます。それゆえにエイトというのは、難しい艇種だとも思います。
しかしながら、全員が、残りの漕手を信じて、つまり、自分が苦しい時は、周りはもっと苦しいはずだと信じて、次の一本で死ぬぐらいのつもりでドライブを出せば、8人の力で助け合うことができ、案外、死にそうになりながらもスピードを保つことができるのです。そうやって、スピードを出して、メニュー、レースを終えた後は、苦しいながらも、不思議な昂揚感と爽やかな感覚を覚えます。このように、限界の前で、真に強い信頼を発揮できた瞬間がエイトを漕いでいて一番楽しい瞬間です。私は、対校エイトで勝てた経験があまり無く、こうした楽しさを感じれた機械は少なかったのですが、これができた瞬間の気持ちは今でも忘れることはありません。
コーチになっても、選手たちがこうした瞬間を見せてくれるのが、本当に楽しいです。そうした機会を与えてくれるという意味で、やはりエイトは面白いなと思います。これからの時期、並べやレースの中で、今まで以上に、選手は、自分の限界と向き合うことになると思いますが、私達コーチは、その中で、選手が互いの信頼感を含めて、心技体のレベルを上げていくことの、背中を押すことが出来たらと思っています。
OBの皆様はいつもご支援ありがとうございます。今月末は、いよいよお花見レガッタです。今年度の結果を占なう重要な前哨戦ですので、ご声援の程、是非ともよろしくお願い致します。