主将なんて柄じゃない

こんにちは。男子部主将の石綿です。

2000TTをやっていると永遠にも思われる漕艇部での時間がもうすぐ終わってしまうのだと思うと、なんだか不思議な気分です。「もうやれることは全部やった、あとは試合に臨むだけ」というマインドでインカレに臨めることを期待していましたが、課題は山積みのまま当日を迎えるように感じるのはやはり人間不変の心理なのでしょうか。

この一年、自分は男子部の主将を務めてきました。入部した時の僕の姿を知る先輩・コーチの方からしたら想像もできないことだったと思います。体格には恵まれておらず、持病で離脱もするし、周りを盛り上げる声かけもしない。この部活で人を引っ張るのに向いているとはお世辞にも言えませんでした。

一方で、当時からこのままの自分でいいのかとも思っていました。
「競技者として活躍したい」
「誰かが落ち込んでいるときに励ましてあげられる人でありたい」
「自分に胸を張れる自分でありたい」
しかし、それらは理想として意識しつつも、これまでの人生を過ごすうちに、いつの日かスポーツで活躍している自分なんて、人に寄り添っている自分なんて、自分に自信がある自分なんて、自分の柄じゃないと思ってしまっている自分もいました。「柄じゃない」と言って遠ざけることで、できない自分を正当化しようとしていたのかもしれません。

主将に立候補したのは、自分の大好きな東大漕艇部を受け継ぎたい、理念である「ボートという素晴らしい競技を通じて豊かな人間性を育む」を継承した組織を作り、部員のみんなが自分達の活動に意義を感じながら活動できる環境を育みたい、と思ったことが大きいですが、主将という責任のある立場で、選手の手本となる姿を行動で見せること、部員に対して真摯に向き合うこと、自信を持って前を向いて活動し続けることにある種反強制的に向き合いながら、「柄じゃない」と遠ざけていた理想の自分になりたいと思ったことも理由の一つではありました。

主将になってからの日々は、正直辛いことの方が多かったかもしれません。順調にローイング力を伸ばしてエイトに乗ることもできた昨シーズンと比べ、3度にわたる体調不良(風邪)、持病の悪化、肋骨の疲労骨折など、今シーズンは苦しいことの方が多かったです。また、目標の高さに押しつぶされそうになった時も、責任の重さに耐えきれなくなりそうになった時もありました。
それでも前を向いてこれまで活動することができたのは、ボート競技の楽しさと、東大漕艇部という組織への愛があった(それを感じさせてくれる仲間がいた)からだと思います。

入部当初描いていた理想像になれたかと言われると難しいですが、大きなヒントは得られたのではないかと思います。人と向き合うこと、自分と向き合うこと、今までマイナスのイメージしかなかったことを前向きに捉えられるようになりました。
そんな風に思わせてくれたボートという競技に、ボート部という組織に、とても感謝しています。

ボートに出会う前は、「柄じゃない」といって諦めていたことが多くありました。でも今は、「柄じゃない」という言葉で諦めたくない。レースに勝ちたい。勝ってみんなと一緒に喜ぶ自分でいたい。

最後の一漕ぎまで、全力で漕ぎ通します。

05年度男子部主将 石綿凌向

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