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全身全霊で何かに打ち込めるのは今だけ-赤松直美(2005年入学・マネージャー)

今回ご紹介するのは、漕艇部時代はマネージャーとしてご活躍され、現在は国際赤十字・赤新月社連盟で組織強化のお仕事をされている赤松直美先輩です!

自己紹介

 新入生の皆さん、こんにちは。赤松直美と申します。出身高校は聖心女子学院、出身大学は聖心女子大学で、歴史社会学科・国際交流専攻でした。

東大漕艇部に入部された経緯や入部動機についてお聞かせください。

 大学の前で配っていたビラを手にしたのがきっかけでした。私自身それまで体育会系の部活動をしてきたわけではなく、高校時代は演劇部に所属していました。演劇は一つの舞台を作り上げるのに、色んなスタッフがいて、舞台に立つ人がいて、団体で何かを作り上げていくものでした。だから大学でも団体で活動するものを続けたいと思っていたのと、小中高大と一貫の学校に通っていたので、社会に出る前に外の世界を見ておきたいと思い、外の大学と交流を持てるサークルや部活がいいと思っていました。
 たくさんあるビラの中で、ボートが私の知らない世界であったことと、表舞台で活躍する選手がいて、それをマネジメントする人たちがいて、色んな役割の人が関わっている組織だというところに惹かれました。また、当時のマネージャーの先輩方の実直さや熱量、みんなで同じ目標に向かっているところに魅力を感じたのも理由の一つです。

―ありがとうございます。そうですよね、漕艇部は選手、マネージャー、スタッフ、トレーナーさんなど本当に数多くの方々が関わってくださっていますよね。

そうですね。今振り返ると本当にそう思います。

東大漕艇部ではマネージャーとしてご活躍なさっていましたが、4年間の部活の中で心震えたことはありましたか?

自分たちの想いや頑張りも一緒にオールで押してもらっているような気持ちになる
 マネージャーの活動として、日々調理やサポートをする中で、「この瞬間に心が震えた!」ということを具現化するのはなかなか難しいのですが、私たちマネージャーも毎日コツコツ積み上げたものがあって、それが大会で選手のパフォーマンスという形で表われた時ですかね。レースを見ていると、遅くまで作業したことや、仲間内でぶつかったりしたことなどが頭をよぎったりして、でもそんな自分たちの想いや頑張りも一緒にオールで押してもらっているような気持ちになるんです。だから、船がゴールした瞬間、まして一位でゴールした瞬間は本当に心震えるものでした。また、選手たちがレースを終えた後、必ず「ありがとう」と伝えてくれて、選手たちの温かい想いも感じて、熱いものがありました。こういう瞬間があったことが、四年間部活を続けた一番の醍醐味だったと思います。

部活で苦しかったことはありますか?

 小さなことで言えば、早起きとか…(笑)2時間かけて戸田に通っていたもので。
―分かります(笑)

たくさんの人がいるからこその意見のすれ違い
 苦しかったというか、難しかったのは、漕艇部には色んな人がいるからこそ、意見のすれ違いをどう会話で解決するかということに、4年間常に悩んでいました。皆最終的なゴールは同じものを目指していても、そこに至るまでの道はそれぞれ違う考えを持っていて、それをすり合わせていくのがとても難しかったです。

―その意見のすり合わせというのは、どうやったら上手くいったのでしょうか?
 
まず、一人一人の意見を全部出していくんです。その中で折衷案を見つけてそれを最優先の意見にするのですが、それ以外の意見もまずは試してみました。そして試した結果どうだったのかを共有して、次に繋げるようにしていました。実際にやってみて見えてくるものもあるので。経験を重ねれば重ねるほど、自分の培った経験に基づいて意見したり選択をしがちですが、それは同時に視野と選択肢を狭めてしまうということにある時気づかされ、そこからは意見の数だけ選択肢の広がりがあると考えるようになり、結果だけでなく、意見を出し合うことやそれを試行錯誤試すプロセスも大事にするようになりました。

マネージャーとしての活動で、工夫されていたことなどはありますか?

 私は部活以外にも色んな活動をしていて、色んな分野を見ているからこそ、この漕艇部という世界にマネージャーとして還元できることがあると思っていました。マネージャー業だけにどっぷり浸かるのではなく、他の活動も同時進行して、たくさんのことを漕艇部に還元できるように、自分の時間配分やエネルギー配分にはとても気を遣っていました。

―両立のコツはありますか?

 とにかく隙間時間を使っていました。電車に乗っている時間だったり、マネージャー業務の空いた時間だったり…そういった時間に課題や次の活動の段取りだったりを考えていました。

―選手との関わり方で工夫していたことはありますか?

 選手たちと一緒に食事を摂るようにしていました。自分が作った食事の感想も聞けますし、体調や栄養面での不安も、食事中の方がざっくばらんに話してくれたりしました。また、選手たちは食事中に自分が漕いでいる映像を見るので、それを一緒に見ていると、どのようなところに注目しているのかなどが分かって、マネージャーの業務として練習中のビデオを撮る時に、どこに気をつけたらいいのかの勉強になったりするんです。だから、練習以外のところで交流を深めるようにしていました。

国際赤十字・赤新月社連盟日本赤十字社でのお仕事について、やりがいや心震える瞬間があればお聞きしたいです。

 世界192か国にそれぞれ赤十字または赤新月社があり、私が勤めている国際赤十字・赤新月社連盟はそれら192社の連盟事務局になります。私が今やっている仕事は、「組織強化」というもので、各国にある赤十字社がその国に必要な人道支援を行えるよう、組織の運営方法を見直し、組織体を強固にするためのコンサルタントになります。 とても残念な話ですが、自分が仕事で関わってきた国に災害や紛争が起こることがあります。その時、自分が長いスパンをかけて能力を底上げしてきた組織が、すぐに災害現場に駆け付けられたり、紛争下であっても必要とするところにボランティアを派遣できたりしている場面を見ると心が震えますね。

お仕事の中で、漕艇部でのご経験が活きていることはありますか?

 仕事をしている中で、「こうした方が効率的なのに」「こうした方が対外的に成果が見えやすいのに」と思うことがあるのですが、文化が違えば考え方は違うもので、そんな時に「漕艇部時代、どうやって意見をすり合わせていたっけ」と立ち返ります。

また、漕艇部時代に、チームとして活動するうえで、自分の仕事が何に繋がっているのか想像する想像力が身につきました。だから、最終的な目的を見失わずに、「自分のやりたい方法」を使うのではなく、その国の地元のニーズを聞き取ることを大切にできています。
 あとは、たくさんの国を同時に担当するのですが、大学時代に培った色んなことを同時進行する力や調整する力がとても今に役立っていると感じています。

最後に、今年の新入生や私たち漕艇部員がこれからの部活動や人生で大切にすべきこと、メッセージ、アドバイスなどをお願いいたします。

全身全霊で何かに打ち込めるのは大学生の特権で、大学生にしかできないことだと思っています。今現役で部活をやっている方々にも、これから入られる新入生の方々にも、漕艇部は120%の熱量を注ぐに値する部活であるよと言いたいです。自分が熱量を注ぐのと同じだけ周りにも熱い人たちが集まっています。もし少しでも漕艇部に興味を持ってくれたなら、ぜひ臆せず飛び込んで欲しいなと思います!

全身全霊をかけて部活に打ち込んでいたからこそ、仲間内でぶつかったり、意見のすり合わせが難しかったり、でもそこから得たものが本当にたくさんあると教えてくださった赤松さん。四年間頑張ったことは、絶対に自分の将来に活きるのだとこれからの活力になった。「何か一つのことに全力で打ち込めるのは今しかない」という言葉は、ずっと胸に留めておきたいと思う。

赤松さん、お忙しい中ありがとうございました!

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