ボートの魅力-尾崎敦子(2001年入学・コックス)

今回ご紹介するのは、対校エイトCoxとして東商戦(一橋大学との対校戦)勝利に導き、現在は海外在住の尾崎敦子先輩です。

自己紹介

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。2005年教育学部卒業の尾崎 敦子と申します。私は一宮高校を卒業して文科三類に入学し、ボート部に入部しました。2年生の途中からCoxに転向して、卒業後は社会人コーチとしても少し活動しました。現在は3児の母、海外生活10年目になりました。

東大漕艇部に入部された経緯や入部動機についてお聞かせください。

入学当初はどこの団体にも属するつもりはなかったのですが、いざ授業が始まってみると家と大学の往復だけではあまり面白みもなく、クラスメイトに誘われていくつかサークルの新歓にもついて行ったのですがどれもあまりピンと来ず。そんな時にたまたま参加したボート部の駒トレ(駒場キャンパスでの陸上トレーニング)で集まっている新入生の女の子たちと気が合ったこと、指導してくださるのが院生を中心とした頼もしい先輩方だったことなど、なんとなく雰囲気が合っていると感じて週末の乗艇練習にも参加しました。中高の6年間も運動部だったのですが、県大会以上に進めたことはなく、大学で続けても先が見えているなと感じていたので、ほとんどの人が大学から始めるスポーツというのも魅力に思いました。

尾崎さんにとって、ボートや東大漕艇部の魅力を教えてください。

初めて競技用のボートに乗せてもらった時、水面がとても近く、止まっている時は少しの波でも揺れてしまうほど不安定な乗り物なのに、漕ぎ始めてスピードが出た途端、ガチっと何かが噛み合って、まるでボートが少し浮かび上がって水の上を進んでいるような感覚がありました。その爽快感が自分にとってのボートの魅力の原体験だったと思います。その後もクルーの息がぴったりと合って、今までにはないスピード、艇の動きを感じられる瞬間が時々ご褒美のように訪れるのですが、それを追い求めることが、現役時代を通してずっと根底にあった自分にとってのボートの魅力だったと思います。

一方、東大漕艇部の魅力はなんといっても人だと思います。チームスポーツの中でも、誰かが目立ってヒーロー的な活躍をするような競技ではないからか、皆優しくて純粋な人が多く、尊敬できる先輩、同期、後輩にたくさん出会えたことは幸せなことだったなと思います。またマネージャーやOB、OGなど多くの方々のサポートがあって活動できる環境も有り難かったです。

東大漕艇部での4年間を振り返って、最も印象に残ったことや感動されたことは何ですか?

やはりレースに勝った瞬間です。どんな小さなレースでも、対校戦でも、勝てたら最高、負けたらめちゃくちゃ悔しい。青春は高校生までのものだと思っていましたが、こんなに心が動く経験ができるなんて、大学でもスポーツをやって良かったと心から思いました。

特に東商戦で勝った時は、岸でたくさんの人が喜んでくれているのが見えて、勝利そのものの嬉しさと同時に、応援してもらえることや歓喜を分かち合えることの喜びを強く感じたのを覚えています

一番左(Cox:舵手)が尾崎さん。東商戦で連敗を止めた歓喜の瞬間
ボート部で対校エイトのCoxをされた経験が社会人になって活かされたことはありますか?

3年生の冬場に、人数の関係で男子部の練習の手伝いとしてCoxをしたのがきっかけだったと記憶していますが、そのまま春の対校戦のエイトのCoxをすることになりました。Coxというのはちょっと変わったポジションで、舵取りという役目はあるものの、漕がないので物理的には重りでしかない訳です。その中でクルーとして艇速にどう貢献できるか、自分なりに試行錯誤しました。

ボート競技の中でもエイトは8人という最大人数の漕手が乗り、全員のオールの動き、力の向きとタイミングなど全てが揃った時に最高のスピードが出ます。そのユニフォーミティという部分において、全員で同じイメージを共有し、追求し続けるために働きかけることができるのがCoxの一つの役割であり面白さでもあるなと感じていました。また当時は対校エイトで勝てない年が続いていたので、中には重責や不安を感じている人もいたと思いますが、自分が一緒にプレッシャーを感じてもプラスにはならないと思い、ある意味鈍感力を発揮して前向きな雰囲気作りを心掛けていたような記憶があります。

仕事でも国籍やバックグラウンド、考え方の違う人達と同じゴールを目指すのには、丁寧なコミュニケーションによる認識の共有が大切で、日本的な察する文化や、「言わなくてもこのくらい分かってるよね」が全く通用しないので、ボート部でのしっかり人と向き合う、泥臭くてアナログな経験が活かされていたのかなと思います。

前列左から二人目が尾崎さん。引退後も女子部コーチとして活躍
最後に、新入生へのメッセージをお願いします。

ボートの魅力を言葉で伝えるのは本当に難しいと痛感しました。ですので、ぜひ一度戸田に足を運んで、自分の目で見てボートを体験してほしいと思います