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ボートの魅力-尾崎敦子(2001年入学・コックス)

今回ご紹介するのは、対校エイトCoxとして東商戦(一橋大学との対校戦)勝利に導き、現在は海外在住の尾崎敦子先輩です。

(これは2021年3月に書かれた記事です。)

自己紹介

新入生の皆さん、大変な状況での高校生活と受験は困難も多かったと想像しますが、乗り越えての合格、本当におめでとうございます。

私は2001年入学の尾崎 敦子と申します。愛知県の一宮高校出身で、文科三類から教育学部に進学しました。ボート部では体格が小柄だったこともあり、2年生の途中からCoxに転向しました。卒業後は社会人コーチとしても少し活動しました。東京でとシンガポールで外資系企業に勤め、現在は3児の母、海外生活11年目になりました。

東大漕艇部に入部された経緯や入部動機についてお聞かせください。

入学当初はどこの団体にも属するつもりはなかったのですが、いざ授業が始まってみると家と大学の往復だけではあまり面白みもなく、クラスメイトに誘われていくつかサークルの新歓にもついて行ったのですがどれもあまりピンと来ず。そんな時にたまたま参加したボート部の駒トレ(駒場キャンパスでの陸上トレーニング)で集まっている新入生の女の子たちと気が合ったこと、指導してくださるのが院生を中心とした頼もしい先輩方だったことなど、なんとなく雰囲気が合っていると感じて週末の乗艇練習にも参加しました。中高の6年間も運動部だったのですが、県大会以上に進めたことはなく、大学で続けても先が見えているなと感じていたので、ほとんどの人が大学から始めるスポーツというのも魅力に思いました。

尾崎さんにとって、ボートや東大漕艇部の魅力を教えてください。

試乗会で初めて競技用のボートに乗せてもらった時に驚いたのは、所謂公園ボートとは全く違って、少しの波でも揺れてしまうほど細く繊細で不安定な乗り物だったことです。しかし、漕ぎ始めてスピードが出た途端、ガチっと何かが噛み合って、まるでボートが少し浮かび上がって水の上を進んでいるような感覚がありました。その時の水の音や風を切る爽快感が自分にとってのボートの魅力の原体験だったと思います。その後もクルーの息がぴったりと合って、今までにはないスピード、艇の動きを感じられる瞬間が時々ご褒美のように訪れるのですが、それを追い求めることが、現役時代を通してずっと根底にあった自分にとってのボートの魅力だったと思います。

一方、東大漕艇部の魅力はなんといっても人だと思います。チームスポーツの中でも、誰かが目立ってヒーロー的な活躍をするような競技ではないからか、皆優しくて純粋な人が多く、尊敬できる先輩、同期、後輩にたくさん出会えたことは幸せなことだったなと思います。またマネージャーやOB、OGなど多くの方々のサポートがあって活動できる環境も有り難かったです。また、東大艇庫の目の前に広がる戸田ボートコースで全日本選手権をはじめとする大きな大会が開催されるので、オリンピック日本代表のようなトップ選手の漕ぎを間近で見られる、ともすれば同じ拠点で練習できるというのも他の競技ではなかなか得難い経験だったと思います。

東大漕艇部での4年間を振り返って、最も印象に残ったことや感動されたことは何ですか?

やはりレースに勝った瞬間です。どんな小さなレースでも、対校戦でも、勝てたら最高、負けたらめちゃくちゃ悔しい。青春は高校生までのものだと思っていましたが、こんなに心が動く経験ができるなんて、大学でもスポーツをやって良かったと心から思いました。

特に東商戦で勝った時は、岸でたくさんの人が喜んでくれているのが見えて、勝利そのものの嬉しさと同時に、応援してもらえることや歓喜を分かち合えることの喜びを強く感じたのを覚えています。

一番左(Cox:舵手)が尾崎さん。東商戦で連敗を止めた歓喜の瞬間
ボート部で対校エイトのCoxをされた経験が社会人になって活かされたことはありますか?

受験勉強では決まった正解を自分一人で出すことが求められますが、社会に出ると初めから正解が決まっていることは少なく、未知の問題に対して何が最も良い解決法なのか、様々なチームメンバーと意見を交わしながら役割分担をしてゴールを目指すことが必要になります。

ボートも同じで、唯一無二の正解の漕ぎというものは存在しません。私がCoxとして対校エイトに乗ることになった時も、どんな漕ぎを理想とすのがコーチやクルーと固めるところから始まり、その実現の為に必要な練習や今の課題など繰り返し話し合いました。

またエイトは8人もの漕手が乗るのでユニフォーミティが大切なのは勿論なのですが、実はポジションによって少しずつ求められることが違います。多少荒削りでもパワーを活かせるポジション、漕ぎやすいリズムを正確無比に刻み続けることを求められるポジション、比較的体重の軽い選手が職人技の如くコンマ何秒の世界で素早く水を掴むポジション。Coxとしては選手それぞれの強みを率直に伝えることで、一人一人がここが自分の持ち場だと誇りを持ち、さらに強みを伸ばしてもらえるよう意識していました。

このような経験を大学生のうちにボート部の活動を通してできたことは、その後の大きな糧となったと感じています。私がこれまで勤めたAmazon、Appleという企業はテクノロジー先行のイメージが強いですが、実際は人と人が膝を突き合わせてとことん話し合い、試行錯誤しながら問題を解決していました。さらに国籍や経歴の違う人達と同じゴールを目指すので、個々の得意分野をどう活かすかは勿論、丁寧なコミュニケーションによる認識の共有は欠かせません。そういった点に於いて、ボート部でのしっかり人と向き合う、泥臭くてアナログな経験が活かされていたのかなと思います。

前列左から二人目が尾崎さん。引退後も女子部コーチとして活躍
最後に、新入生へのメッセージをお願いします。

大学で体育会系の部活というとハードルが高く感じるかもしれませんが、最初はみんな初心者という意味では、ボートは新入生全員で横一線でスタートを切れる数少ないスポーツのひとつだと思います。運動の経験がある人もない人も、これを読んでくださっているのは少しでもボートに興味がある方だと思うので、であればぜひ一度戸田に足を運んで、自分の目で見てボートを体験してほしいと思います。入部するかどうかはその後にゆっくり考えればいいと思います。なぜならこの大学時代を逃すと、この魅力的な競技に触れる機会はほとんどないからです。まずは実際にボートを漕いでみてください。その魅力が伝わると幸いです。

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