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「みんなの心を一つにする役割」髙槻崚×「ボートを動かす人を、動かす」大滝志織×「自分が全ての船に貢献できる」谷口創

(写真左)4年コックス 髙槻崚(写真中央)4年マネージャー 大滝志織(写真右)4年スタッフ 谷口創

【インタビュアー】4年漕手 松本郁哉

松本:今日は最高学年である4年生のコックスとスタッフ、マネージャーに集まってもらいました。自己紹介と簡単な役職の説明からお願いします。

高槻:4年の高槻です。僕はコックスという、オールは漕がないけど船に乗って安全管理し、船の向きを決め、号令をかけて皆の心を一つにするような仕事をしています。

谷口:同じく4年の谷口です。僕は船を漕がずに部活の運営に関わるスタッフをやっています。今までは大会を一から運営したり、部活の器具を全て管理する会計の仕事をやったり、新人の勧誘をやってきました

大滝:同じく4年の大滝と申します。東大のマネージャー(=スタッフ)と他大のマネージャー(=マネージャー)がいるのですが、私はマネージャー側のチーフを務めています。マネージャーは、主に漕手の生活面のサポートが多いんですけど他にも様々なマネジメントの部分で働いている人たちが集まっています。

松本:最後に僕は、今日インタビュアーを務めさせていただいている松本です。4年生の漕手です。

松本:早速だけど、今緊急事態宣言が出てボート部も本来の活動が制限されているけど(対談実施日は2月)普段とは何か違う仕事していたりする?

高槻:まずは普段水上でトレーニングできるときは僕も一緒に船に乗っていることが多くて、陸上で筋トレをするときはフォームのフィードバックとか時間の管理をすることが多いです。今はボートに乗れなくて、陸上のトレーニングもzoomで練習する感じになっていてそこでは時間を管理したりとか、画面上でフォームのフィードバックをしたりしています。

谷口:僕は普段会計として艇庫で練習するための費用とかを管理していることが多いんですけど、今は皆自宅にこもって練習しているのでそれが出来ません。コロナ禍でも組織を発展させるために、今は会議を毎日のように頑張っていますね。大変だけど、自粛期間だからこそ出来ることかもしれないなと。

大滝:私は普段艇庫で練習しているときはご飯を作ったり選手を身近でサポートしています。今は離れていても選手がアスリートらしい生活を送れるように食事の確認とか体重の管理を徹底しています。

松本:今slackで、マネージャーが選手ひとりひとりに付いて食事の栄養チェックをしてもらってるけど、あれにコメントくれるのも元気が出るから、ありがたいなって思ってます。

(写真)zoomを繋いだ集合練習の様子。コックスがタイムキープや掛け声をかけてくれます。またスタッフが艇庫にあるエルゴを部員の家に届けてくれました。

松本:次に入部してから個人としての変化、組織の変化って何か感じる?

髙槻:今までこんな大きい組織、そして運動部に所属したことがなかったので、いかに人の考え方がバラバラかっていうのを感じるようになった。ボート部は高い目標があって人数も多い組織で、どう話し合ってどう行動していくかというのを決める機会が結構多くて、その中で自分の考えを喋ったり、人の考えを聞いたりする機会が増えてきて。自分や他人の考え方の違いを、部活を通して知れるようになってきたというのが、個人的に一番大きな変化かなと思います。

谷口:そうだなあ。漕がずにスタッフをやることは、特殊な選択かもしれないけど、部活全体の風通しがここ数年で良くなっているのは皆感じていることだと思う。今まではスタッフと選手に壁があるような感じだった。スタッフになった当時は選手と違う仕事だけど組織の運営を頑張るんだっている気持ちだったけど、今は選手と意識の差がないというか。一緒の評価基準で仕事ができてる感じがして、そういう変化は良かったと思う。一緒にスタッフになった原本くんの「マネージャーがサポート役じゃなくて主役になって勝たせる」という考えには刺激を受けましたね。

松本:そうだよね。例えば今までは新勧も選手は積極的に関わっていなかったと思うけど、今年は特に選手が運営に関わったり、スタッフやマネージャーも選手の活動に関わったり、部活全体で勝利に向かって頑張ってるなという感じがします。大滝は、マネージャーと選手の壁についてや、自分の変化についてはどうですか。

大滝:能動的になったというのがとても変化を感じているところ。前は選手との壁を感じていることもあってこんなことをやりたいという部分に踏み出せずにいたけど、最近はその壁がなくなった気がしていてマネージャーがそれぞれのやってみたいという気持ちを大事にして自ら貢献しようっていう姿勢が生まれたと思う。組織の変化に関連してどこか受け身だった自分が能動的な人間に変わったのをすごく感じてます。

松本:マネージャーが、漕艇部のより根元の方まで関わるようになってきたと感じてるってこと?

大滝:その通りだと思う。言い方は悪いけど誰でもできるような仕事が前は多かったなって思うけど、今はその人にしかできないこととか、その人だからこその影響力が色濃く出ている気がする。それは結構いいことだなと感じています。

松本:マネージャーが関わることによってスタッフの仕事が減ったりとか、それでスタッフが出来ることが増えたというのはあるのかな。

谷口:その通りで、今までとは全然違うと思う。今まではスタッフからマネージャーの方に仕事をあまり振っていなかった。学内、学外関係なく仕事ができるっていうのは仕事の持続性も、量も質も全然違うなと思いますね。

高槻:仕事が見えるようになると、知らなかったことを認識できたし、人数によってできる仕事の幅が広がるというのは、コックスという立場から見ても実感できますね。

松本:仕事が見えるようになってきたことで、選手も運営に関われるようになった。チーム全体っていう感じがより出てきたね。

(写真)レース時の岸けりの様子。レース当日にはマネージャーが捕食や特製ドリンクを作ってくれます。

松本:ところで谷口と高槻は1年の時は漕手をやってそれぞれ今はスタッフとコックスという立場になったけど、その立場の変化によって自分の中で何か変化はあった?

高槻:コックスになってみて、地味に大きいなって思ったのは、例えばトレーニングしてる人が自分自身や周りを鼓舞するために声を出すことは、周りにとても影響が大きいから大事だなと。自分が選手をやっているときは声出した方がいいとか、そんなこと考える余裕がなかったけど、監督する立場になってみたら、周りを鼓舞する存在って大事だな、声を出すことは大事だなと思いました。

松本:高槻の声かけ次第で僕たち漕手のモチベーションが変わるのはすごく感じる。

谷口:最初は俺は高槻と同じで運動部に所属したことがなくて、本当に体力がなかった。でもだんだん漕手として成長していったときはやりがいも感じたし、本当にボート漕ぐの好きだったし、絶対に成長できるって思ってたんだけど、やっぱり体質的に難しくて。今考えても、あのとき選手を続けるのは無理だなって思うくらい。そのまま、選手を辞めちゃったんですよね。同期の原本は積極的にスタッフになったけど、俺は消極的な理由からなってて、最初はとりあえず艇庫に来たけど、何したらいいのかわからない状態だった。そのとき助かったのは役割を与えられたからだと思います。具体的には、試合の運営とか後輩の育成。そういう役割を通して成長することができるし、色々見えてくることもあったので、良かったなと思ってます。当時は、自分が選手とは独立して、違う道を進んでいるっていう意識で、選手の練習の辛さも覚えているから引け目もあったけど、だんだん組織の風通しも良くなったし、この1年くら いで、練習してるやつに負けないくらいの頑張りをして、選手と同じ評価基準で活躍してるぞって思えるようになったかな。

松本:スタッフならではのもモチベーションがあって、それに対して選手と同じくらい熱い気持ちで取り組めるようになってきたって感じかな、ありがとう。今の部があるのは、スタッフの原本と谷口がいるおかげだよね。

谷口:それ俺は否定しないぞ。自信があるから(笑)スタッフには選手が練習する分の時間があるからそこで選手に負けないくらい頑張れるかというのが大切だと思う。

(写真)1年生にとって初めてのレースである浅野杯。同期の仲も深まります

松本:最後に、漕艇部っていうとやっぱり主役は漕手だと思われがちだけど、今回は漕手以外の立場の人に集まってもらってるのでその立場として、漕艇部の中で自分が輝いていると思う瞬間を教えて欲しい。

高槻:自分が漕艇部に所属している意味を見出せる瞬間と考えると、今は幹部として部の運営をしているけど、自分の働きでだんだん風通しが良くなっていろんな活動ができるようになったのは感じている。その中で自分ができることは、僕は部で決めたことは全員でやるべきだという考えでその意識が他の人よりも強いと思うのでそれを後輩にも伝えていきたい。スタッフやマネージャーよりの話になってしまうけど、幹部として頑張りつつ、コックスの仕事もしていって自分が輝けたらなと思います。

谷口:自分が輝いていると思うのは、スタッフの仕事の中で自分の特技を活かせてる時で自分の存在意義も感じます。幹部にもいるし新歓も中心メンバーなので、いろんな場所で力を発揮して頑張っています。選手は自分の船を勝たせるっていうのが目的だけど、僕の場合は船に乗っていないから「自分の」が取れる。つまり自分が全ての船に、漕艇部の全体的な成績の影響に貢献できると感じられるのは嬉しいです。

大滝:私が輝いていると思う瞬間は人と関わっているとき。ボートに乗らないってことは、ボートを動かす人を動かさなきゃいけないっていうことだから、そのために人と関わる中で自分も成長できる。さっき高槻も言ったけど、漕艇部には本当にいろんな人がいるから自分のものの見方はすごく広がったと思う。部員は面白い人ばかりだし、部員、監督、OB・OGなど様々な人と話してる瞬間が一番輝いていると思います。それで自分の行動につながって誰かが喜んでくれたり、結果につながったりした瞬間はボートには乗っていないけどものすごく嬉しいしワクワクします。それがあるからこそ、ここまでやってこれたと感じています。

松本:それぞれの立場で輝ける瞬間があるんですね。漕艇部はボートを漕ぐのがメインに思われるかもしれないけど、スタッフ、コックス、マネージャーなど様々な立場で大学生活を輝かせられる団体なのだと思います。

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