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「ボートは全員が目立つし、全員が目立たない」加藤史弥×「過去の積み上げてきたものが活かせるスポーツ」江口幸花

【対談者】(写真左)4年漕手 加藤史弥(写真右)3年漕手 江口幸花

【インタビュアー】2年マネージャー進藤万里依

進藤:今日はお二人に入部に至る経緯と部活と勉強の両立というテーマでお話をお伺いしたいと思います。早速ですがお二人は高校までスポーツはやっていましたか?

江口:私は陸上競技を小4で始めて高3までやっていました。

加藤:僕は小3から高3までサッカーをやっていました。

進藤:私もテニスを3歳から高校まで続けていた身として、お二人がそれぞれその競技にどんな魅力を感じてそこまで続けられていたのか気になります。

江口:小4の時に地域の陸上クラブに出会ったんですが、それまではピアノとか習字の習い事はやっていたけどスポーツとかは全然やっていなくて、陸上を始めた時に同じ習い事でものめり込み度が違うというか。スポーツの楽しさを知ることができて、本当に打ち込めると気づいた時からどんどん自分の中で陸上の優先順位が高くなって。中3の中学県総体で、県の中でもトップクラスの成績をとれたのが自信となって自分にチャレンジするのが楽しくなって高校まで続けていました。

加藤:僕はまずボールを蹴るという動作自体が結構楽しいというか快感で、壁にボールを蹴っているだけで30分〜1時間くらいは潰せる。あとサッカーの特徴というか、ボールを持っている方が攻めて、持っていない方が守るっていうところで、個人技で攻めてもいいし味方と連携して攻めてもいいし、どうやって点を取りに行くかっていうのを考えるのがそもそも楽しい。僕はディフェンダーだったんだけど、実はオフェンスよりディフェンスの方が好きで、ディフェンスで相手のボールを奪ったら、相手のオフェンスから自分たちのオフェンスに選曲が切り替わるっていう場面で、僕はその相手のオフェンスを潰して自分たちのオフェンスに変えていくっていうところに楽しさを見出していたかなっていう感じかな。

サッカー部時代の加藤

進藤:お二人とも大学でも続ける予定はなかったのですか?

江口:私は無くて、さっき言ったように中3でピークがきちゃって、高校からは進学校に進学したというのもあって、陸上チーム自体が強いわけではないというのと勉強との両立が大変で、それに加えて成長期がきた関係でタイムが伸び悩んじゃうこともあって、いつもスランプに陥っているような三年間だったんですね。だからこれ以上は陸上を続けるのは難しいんじゃないかなということを感じていて。あと中学の時は県大会止まりだったんですけど、高校では九州大会っていう県以上のレベルの大会に出ることができて、インターハイの一個上のブロックに進めたことが嬉しいのもあって、そこで一区切りついたなと思いました。

加藤:僕は大学でも続ける気満々で大学に入って、高校のサッカー部の先輩が東大でサッカーを続けていたというのもあって結構東大サッカー部が身近な存在だった。あと実は自分は高3の春に靭帯を切っていて、運動をするなら手術とリハビリが必要になるという状態で、自分はサッカーを続けるつもりだったから手術とリハビリをしながら受験勉強もやっていたので、当時の自分からしたらある程度受験勉強する時間を削ってでも、サッカーを続けるという意気込みだったのかなと。

陸上部時代の江口

進藤:お二方とも大学で続ける続けないなど色々な考えがあったと思うんですが、なぜ大学から「ボート」という新たな競技を始めようと思ったのですか?

江口:勧誘で関わった先輩が、私が陸上の中距離をしてたという話をした時に「ボートに向いてる」って言ってくれたのがボートに関心を持ったきっかけ。陸上ではもうこれ以上続けられないけど心肺能力とかは積み上げてきたものが活かせるといいなとは思っていたので結構適性があるなと。あとボートは2000m同じ動きを続けるのでシンプルさで言えば陸上も一緒で安心感があって、鍛えるのはフィジカルが強いことが大事っていうのを聞いて、「これなら頑張っていけそうだな」って感じました。陸上に勝る魅力という点に関しては、ずっと個人競技をやってきたので団体競技っていうものに興味があって「これしかないな」っていう気持ちになりました。

(写真)瀬田川で行われた京大戦の様子

進藤:もともと大学でスポーツをやりたいなという気持ちはありましたか?

江口:候補としては応援団のチアとか、アメフトのトレーナーとかフィギュアスケートとか色々あったんですけど、最後にはボート部の熱い雰囲気とか、自分の性に合っていそうな、全力で夢を追うことが尊重される場というか、そういうところにも惹かれてボート部を選びました。

加藤:そうですね、僕も入学するまでボート競技の存在すら知らなくて、新入生の時に構内歩いてるといろんなサークルや団体から勧誘されるんですけど、その中で「この人とあんま仲良くなれなさそうだなぁ」という感じの団体もある一方で、ボート部の人に勧誘された時にはいい人そうだなという印象を持って、それがボート部とのファーストコンタクトでした。自分はサッカーを続けるっていうのは決めていたので、サッカー部の練習に早い段階から参加していたんですけどそれだけだと暇な時間もあったし、ボート部いい人だから行ってみようかなと思って誘われたボート部のイベントとかも行くっていう生活が4月の間は結構続いていて。ボート部のイベントとか行ってるうちに顔なじみもできてその人たちといると割と楽しいなっていう印象があって、その時ちょっとだけ「ボート部いいな」と思ってだいぶ迷っちゃって、その時にボート部主将で元サッカー部の人と話す機会をもらえて、ずっとサッカーやっていたのにボート部入って後悔とかはないのかと聞いたら「全然そんなことはないよ、俺はボート部に入ってよかった」とおっしゃっていて、自分もじゃあボート部入ってみようかなという感じで。競技としてはボートよりサッカーの方が好きだったんですけど、部員、同期とか先輩の魅力に惹かれて「えいや!」って感じで入部してみたかな。

進藤:競技という観点でサッカーや陸上とボートの共通点や相違点は何か感じますか?

江口:陸上の中距離とボートの2000mは心肺機能的に似ているところがあって、力を出し切る感じとか、MAXになった後どれだけ耐えれるかみたいなところが共通点だなと感じる一方で、相違点は、やっぱり道具を扱う競技なので道具の管理とか艇などの整備にも気を配らなきゃいけなかったり、シンプルに漕ぐ技術もスピードに影響してくるところとか単なるフィジカル面以外にもスピードが速くなる要素が隠されているところだと思います。

加藤:サッカーとボート共通点はほとんどないかな(笑)強いていうとすれば足をしっかり押して使うくらいで。相違点は、サッカーは点を取る選手が目立つけどボートはそれと違って、全員が目立つし全員が目立たない全員で同じ一つの船を押して進めていくって意味で、同じチームスポーツでもここが違うかなと。あとはサッカーは球技で得点を競うけど、ボートは2000mの速さを競うからそこが違うし、サッカーはコンタクトスポーツだけどボートは接触がないとかかな。

戸田での早朝練習の様子

進藤:ここからは入部してからの話ですが、東大には進振りという制度があるらしいんですけど、勉強と部活の両立に不安を感じている新入生もいると思います。私の同期からも不安だという話を聞いていて、その点に関して先輩の話を聞きたいです。

江口:私は後期教養学部という文系の中では比較的点数が要求される学部に進んだんですけど、満遍なく高得点が取れるタイプじゃなくて苦手科目があったんですけど、得点源を語学に集中させてそこで高得点を取ることで平均を高くするという方向でやりました。1年生の時はそんなにあれこれ語学には手を出さなかったが、2Sでたくさんの科目を取ることで、語学と語学以外の総合科目を塗り替えれるように頑張りました。結論としてはたくさん授業を取ったことが、割と高い点数を取れたことの要因かなと思います。

進藤:部活動との両立という面だとどうですか?

江口:部活をやってると、授業以外の時間で勉強の時間が取れない事もあると思いますが、語学の授業は出席すれば点数に繋がるし、出席の積み重ねがあると期末とかにあんまり勉強しなくてもすむとか。出席点の多い授業を全体的に多めに取ってました。出席点で最初から取れてる点が十分上澄みされてるから、それが活きてたんだと思います。あとは時間がある時は食堂で友達と勉強したり図書館に行ったりして、あんまり家で勉強しないで外で勉強する習慣ができていたと思います。

加藤:ボート部の特に新入生の最初の頃は5限後に練習があるので、空きコマとかに勉強ができていれば十分高得点を狙えるかなと思います。ボート部入って勉強と両立できるか不安な人に一つ言いたいのは、ボート部入っても点を取れる人は取れるし、取れない人は取れないってことですね。ボート部に入るメリットとしてはシケプリとか過去問が手に入りやすいし、勉強のやる気がある人にとっては、ボート部がマイナスになることはなくて、練習と勉強のメリハリがついてプラスに働くのかなと思います。

毎年恒例の餅つき。マネージャーさまざまな味付けをしてくれます。筆者はずんだ餅がお気に入りです。

進藤:最後になりますが、勉強との両立に不安を抱えてたり、大学で新しいことを始めたいと思っている新入生に対して一言お願いします。

江口:勉強との両立は簡単じゃないかもしれないけど、大学生活は勉強だけでなくて、他のことに何かに熱中した方がより充実したものになると思うし、いろんな面で刺激を受けた方が勉強へのモチベーションも生まれてくると思うので、是非いろんな分野でチャレンジしてほしいと思います。大学で何か新しいことを始めたいというのは、いろんな選択肢が広がっていると思うので最初の時点で広く見てみると自分が求めてるものが見つかったり広い世界を観れるのでオススメです。ボート部の宣伝にはなるんですが、ボートは比較的経験してない人でも始めやすいスポーツだと思うし、やっぱり大学のスポーツということもあって、トレーニング環境とかOBOGからの支援だったりスタッフ体制とかがすごく充実している組織だと思うので、そういうアツい組織に入ってみるのもいいのではと思います。

加藤:勉強面に関してはボート部からでも後期教養とか航空宇宙とか高い点数が必要な学科に入っている人は一定数いるので、ボート部に魅力は感じるけど勉強との両立が不安だという人は一旦入ってみて、それでも両立が無理だったらその時考えるというのが、後悔のない選択だと思います。自分の話をすると、自分はずっとサッカーをやっていて、ボート部に入ることはサッカーから逃げているのではと内心思ってる時期があって、結論から言うと、今思えば、ボート競技に対してより魅力を感じただけであって、別にサッカーから逃げていたわけではないと今になって思います。長くスポーツを続けてきた人は、そのスポーツから離れることに対して罪悪感を感じてしまうこともあると思いますが、それをぜひ乗り越えてボート部に入ってみてほしいですね笑

瀬田川で行われたHead of the Setaのクルー写真

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